【小倉記念回顧】父キングヘイローと重なる豪脚 6歳29戦目でタイトルつかんだリフレーミング
価値ある2着コスタボニータ
レースは1000m通過57.6のハイペース。競り合わなければスローで逃げられるテーオーシリウスだが、前走の中京記念で競り込まれ、以前よりスイッチが入りやすくなっているようだ。今回は単騎で進めながら、2ハロン目の10.4からすべて11秒台で突っ走ってしまった。前半にあるのぼり区間でペースを落とさないと、中京芝2000mを乗り切るのは難しい。 結果的には前後半1000m57.6-58.9の持久戦になり、リフレーミングの末脚を引き出すことになった。そんな流れのなか、2番手からゴール寸前まで先頭を守ったコスタボニータは高く評価すべきだろう。テーオーシリウスを深追いせず、自身は息を入れる区間を作れたとはいえ、牝馬56キロでこの走りは見事だ。以前はマイル寄りに距離適性があったが、今年は愛知杯3着、中山牝馬S5着、福島牝馬S1着など、着実に守備範囲を広げてきた。牡馬さえ音を上げる持久力重視の2000m戦で2着に入った事実は、秋に向けて期待を抱かせる。これまでGⅠ出走はないが、そろそろもうひとつ上を目指していいタイミングではないか。 3着は2番人気ディープモンスター。序盤は速い流れに戸惑ったか、前を追いかけようとする仕草があり、これがエネルギーのロスにつながったか。3コーナーの下りからリズムをとって進出したものの、後ろから来たリフレーミングとの末脚勝負で見劣った。そのリフレーミングに前に入られ、最後は外に切りかえるなど、少しスムーズも欠き、さらに58.5キロを背負ってのレコード決着はしんどかった。 健闘したのは格上挑戦だった4着ヴェローナシチーだろう。一旦はコスタボニータに並び、見せ場たっぷり。3歳時には京都新聞杯2着がある実績馬だが、屈腱炎で1年半の長期休養を余儀なくされた。戦列に復帰した自己条件こそ8着に終わったが、使われて着実にパフォーマンスを上昇させた。元値はオープン級の実力を持つ馬なので、自己条件突破は時間の問題だろう。9月終わりまで続く得意の中京で決めたいところ。次開催初日に芝2200mムーンライトハンデキャップ、最終週に芝2000m高山ステークスがある。反動がなく、脚元さえ無事で出てくれば、確勝級ではないか。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳