ごはんを食べるのになぜ「茶」碗? 汁物が木製の器に盛られる理由とは
汁物がお椀である理由
前述の通り、かつてはごはんも木椀に盛られていたように、日本の食器は木製でした。汁ものは木椀のままで「お椀」や「汁椀」とされている理由は、日本の食文化にあります。 和食では、汁が入った器を手で持って口をつけていただきます。木椀は熱が伝わりにくいため、熱々の汁を入れても手で持ちやすく、口当たりも優しいのが特徴です。加えて、軽いので使い勝手が良く、木製の器は中身が冷めにくいというメリットもあります。 茶碗にしても、椀にしても、器に取っ手はありません。これは、ごはん茶碗や湯呑み、汁物のお椀などの器は、直接手で持って口元に運ぶからだとされています。また諸説ありますが、単に実用的な理由だけではなく、手で全体を包み込むことで温もりや器の質感といった心地良さを楽しむ、日本独自の文化も背景にあるのでしょう。
鶴丸 和子