夏休みの「弁当地獄」に救世主、放課後児童クラブに配達弁当 サービス導入されず「がっかり」の声も…保護者の負担感に地域差
夏休みは給食がなく…
夏休み中の小学生の昼間の居場所として、放課後児童クラブ(学童保育)を利用する保護者も多い。ただ、大半のクラブには給食がないので、保護者はいつもより早起きをして弁当を作る必要がある。この負担をなくそうと、長野県長野市では、民間業者の配達弁当を購入できる取り組みが試験的に始まった。しかし、県内でも松本市や上田市、飯田市には同様の取り組みはなく、地域によって保護者の負担感に差が出ている。 【写真】子どもの好みや食べる量に応じて選べる弁当
弁当作りで「仕事前にヘトヘト」
弁当地獄―。SNSでこう表現されるほど、弁当作りを負担に感じる保護者は多い。長野市内のクラブを利用する会社員の女性(40)は「朝早くにお弁当を作ることが大変」。同じクラブを利用する会社員の女性(41)は、「下の子が3歳で手がかかるので、時間的にかなり大変。仕事前にヘトヘトになる」と話した。
2人とも夫婦共働き。学校がある日より30分~1時間ほど早起きし、会社に行き、帰宅後も夕食の準備や洗濯…。日々の負担が減る配達弁当は「救世主」とも呼べる存在だ。
利用希望者は95%
長野市は、市内の仕出し弁当業者からの提案を受け、春休み中に3クラブで試験的に配達弁当を購入できるサービスを導入した。夏休み前、配達弁当の需要を一部の保護者に調査すると、回答した931人の95%が夏休み中の利用を希望した。
保護者の選択肢を増やそうと
市こども政策課は「利用者の選択肢を増やしてサービス向上を図りたい」と、配達弁当を購入できるクラブの拡大を決定。今夏は、3社が市内84クラブのうち16クラブの希望者に弁当を配達している。
サービス導入されず「がっかり」
ただ、不満の声も。配達弁当サービスが導入されなかった市街地のクラブを利用する長野市内の会社員女性(40)は、「がっかりした」と言って肩を落とした。「配達弁当があれば本当に助かる。是非どこでも利用できるようにしてほしい」と望む。
断られた山間部
市はサービスを他のクラブにも拡大したい考えだが、現状3社だけでは「市内全域をカバーできる体制ではない」(こども政策課)。実際に、山間部のクラブが導入を希望したが、業者側が断った事例もあったという。