柔道阿部詩選手に感じた「お家芸」のつらさ、伝えたかった「ありがとう」の思い 「キング」内村航平さんが見たパリ五輪、そして五輪の意義
心から称賛されるのは、五輪で金メダルを獲得した時だけ。選手は負けたら死ぬほど悔しいはずです。私も同じお家芸で戦ってきたから分かります。世界選手権で勝っても何も言われなくなった。勝って当然でしょ、という感じです。そこに至るまでの過程は生半可ではありません。でも「努力をこれだけしてきました」と自分では言いたくない。 柔道の選手が「すみません」と言う姿を見て、自分は「ありがとう」「メダルおめでとう」という思いだったし、応援している人にもそう感じてほしかった。その気持ちを一番分かっている私が伝えないといけない、という思いでした。 五輪は、人間が実社会で気持ちを強く持って生きるために必要なことを教えてくれるものだと感じました。困難を乗り越えていく力、負けても前を向いて次に立ち向かっていく気持ちの強さ、やり続ける辛抱強さ。それを、より分かりやすく表現して伝えてくれるのが五輪の意義なのだと思います。
東京五輪では開催の是非を巡って国民の世論が二分され、五輪離れという言葉も出ました。でも今回のパリ五輪を見て、皆さん思いませんでしたか? やっぱり五輪っていいな、と―。(体操五輪金メダリスト) × × うちむら・こうへい 五輪2大会と世界選手権の個人総合で2009年から前人未到の8年連続世界一。団体総合は2015年世界選手権と2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルに輝いた。日体大、コナミスポーツを経て2016年から日本体操界初のプロ選手に転向。2022年に現役を退き、2023年から日本体操協会で理事と男子強化コーチを務める。35歳。長崎県出身。
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