柔道阿部詩選手に感じた「お家芸」のつらさ、伝えたかった「ありがとう」の思い 「キング」内村航平さんが見たパリ五輪、そして五輪の意義
橋本は5月に負った右手中指の靱帯損傷の影響が大きかった。私は試合で勝つのが一番強い選手じゃなく、けがしない選手が一番強いと思っている。五輪イヤーは特にです。本番だけが五輪じゃないという準備の大切さと、勝ち続ける難しさを知ったはずです。さらに強くなる慎ちゃんと大輝。二枚看板となった日本の体操界は間違いなく面白くなります。体操人気に火を付けてほしいし、皆さんにも注目してほしいです。 ▽美しかったチャンピオンの動作 体操だけでなく、強い選手が五輪でいかに普段通りにやることが難しいか、そしてそれができる選手の異常さを目の当たりにしました。めちゃくちゃ面白かったし、楽しかった。私にしか伝えられないものは何か―。それを大会前から考え、各選手の動作に着目することにしました。体操で学んだ動作解析の知識を通じて、選手の技、動きのすごさを表現することで、視聴者の方に選手が積み重ねてきた努力を想像してもらいたかった。
柔道やレスリングでは組み手が大事と言われますが、単純に上半身の強さが左右するわけではありません。下半身の体重移動や体幹をどう生かしているか。私なりの分析を披露したつもりです。 最終日に金メダルを獲得した陸上女子やり投げの北口榛花選手(JAL)は、1人だけ右に弧を描くような放物線でした。ゴルフに例えるなら、飛距離が出るとされるドロー系です。一方で、他の選手は左からのフェード系。北口選手は実に理にかなっているなと驚きました。勝負を決めた1投目は助走から全てが一つの線で描かれているようで本当に鮮やかでした。今回、日本、海外問わずいろんな金メダリストを見せていただきましたが、どの競技でもチャンピオンの動作は美しかったです。 ▽「孤独な集団」の気持ちと、自分が伝えたかったこと 今大会、私が最も感極まったのが、柔道でした。女子52キロ級の阿部詩選手(パーク24)の2回戦敗退と、混合団体の銀メダルです。連覇の難しさ、そして勝って当然と言われる日本発祥の『お家芸』のつらさを感じました。代表争いを勝ち抜いただけで誇りに思っていいはずですが、普段の大会では勝っても「おめでとう」と言われない孤独な集団です。
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