あのスターの怪演ぶりが凄い映画5選!
ひたすら研究に打ち込むオタク外科医!『哀れなるものたち』/ウィレム・デフォー
風変わりな天才外科医ゴッドが、自殺した妊婦に、その胎児の脳を埋め込んでつくり出した人造人間ベラ。ゴッドは助手を雇い、彼女を観察する仕事をあたえた。最初は赤子のように無垢だったベラはやがて外の世界に興味を持つようになり、ゴッドを説得して外の世界へ。遊び人の弁護士との旅、娼館での仕事を経て、ゴッドの危篤を知らされ、久しぶりに帰国したベラを待っていたものは? 新作『憐れみの3章』(2024年)も好評のヨルゴス・ランティモス監督が、同作のエマ・ストーン、ウィレム・デフォーと組んで放つユーモラスで奇抜なファンタジー。ベラに扮したストーンの熱演も凄いが、その父親代わりであるゴッドを演じたデフォーの存在感も強烈だ。フランケンシュタイン博士のように人造人間を生み出すも、怪物は愛らしく、逆に博士の容姿の方がモンスター的という逆転の構図。研究以外のことにまったく興味がない、オタク的な入れ込みぶりも印象に残る。
汚職刑事の狂気ぶりを見事に表現!『レオン』/ゲイリー・オールドマン
ニューヨークのアパートで観葉植物を育てながら孤独に暮らす、フランス生まれの凄腕の殺し屋レオン。麻薬組織に家族を殺された12歳の少女マチルダを助けたことから、彼の静かな暮らしは一変する。復讐したいという彼女に請われて射撃を教え、彼女から英語を教わり、そんな日々の中でレオンはやすらぎを覚える。そんな彼らに、麻薬犯罪を牛耳る汚職刑事スタンフィールドの魔の手が迫る。 リュック・ベッソン監督による人気アクション。主要俳優陣はいずれも魅力十分だが、怪演の点で目を引くのは悪役スタンフィールドに扮したゲイリー・オールドマンだ。カプセルを噛み砕いてドラッグを吸引し、指揮者のジェスチャーのように音楽に合わせて舞いながら、ショットガンをぶっ放す。この初登場シーンだけで、キャラクターの狂気がわかりやすいほど伝わってくるが、同時にそれはオールドマンの役者としての凄みでもあるのだ。
文=相馬学 text:Manabu Souma