トランプ氏「長男の人事介入」雑音…米国人65%「民主主義が脅かされている」
米国のドナルド・トランプ次期大統領が当選から17日間で15部署の長官人選を終えて第2期政府の陣容をほぼ完成させたが、政権引継過程のあちこちで雑音が聞こえてきている。米国メディアは特に、政権引継チームの不透明な会計と、実力者が介入した人選に対する問題点を指摘している。 ニューヨーク・タイムズ(NYT)は24日(現地時間)、トランプ政権引継チームが寄付者や募金額・内訳などを公開しないまま無制限に募金した秘密資金で運営されていると報じた。通常、引継チームは連邦政府一般調達庁(GSA)と協定を締結して政権引継に必要な資金の支援を受けることになっている。協定を締結すれば個別支持者に受けることができる後援金は1人につき5000ドル(約77万円)に制限される。代わりに連邦政府から最大720万ドルの支援を受けることができる。 ところがトランプ氏はGSAと了解覚書を締結しなかった。歴代引継チームのうち政府支援金を受けなかった事例は今回が初めてだ。代わりにトランプ氏は引継チームを「トランプ・バンス2025引継株式会社」と呼ばれる非営利団体に設定して資金を集めている。米国では政治活動が可能な非営利団体は国税庁に寄付者はもちろん、募金額や内訳などを公開する義務がない。このために寄付者が公開されない形の募金が事実上トランプ氏に対する公式的なロビー窓口になる可能性があるとの指摘が続いている。選挙寄付ではないため外国人も身分を隠したまま莫大な資金を支援することができ、米国外交・安保に影響を与える恐れがあるとの懸念も出ている。 トランプ氏は司法省との協定も締結しなかった。このため速戦即決で行われた最初の内閣人選は司法省傘下の連邦捜査局(FBI)の身元照会なく行われた。引継チームはFBIではなく民間企業を通じて検証したと言われているが、「忠誠派」オンリーの人選過程で不良検証問題が続出した。 ロイター通信はこの日「トランプ氏の長男トランプ・ジュニア氏が、最近に入って最も論争の多い内閣を構成したトランプ氏の家族で最も影響力のある人物」としながら「(長男が)政府最高職責に経験不足の忠誠派を資格のある候補よりも優先視し、起用している」と指摘した。通信は、トランプ・ジュニア氏が推薦した要人の中には「主要寄付者と政治的支援勢力はもちろん、個人的な友人も含まれた」とし、次期副大統領のJ・D・バンス氏、保健福祉長官に指名されたロバート・ケネディ・ジュニア氏、国家情報長官室(DNI)局長に指名されたトゥルシー・ギャバード氏らを挙げた。 この日CBSが世論調査機関「YouGov」と共同で米国人2232人を対象に19~22日に実施して発表した世論調査(誤差範囲±2.3%ポイント)によると、回答者のうち65%がトランプ氏当選以降の民主主義と法治が脅威を受けていると答えた。共和党員の57%も現在の状況を脅威と判断した。