仕事、家事、子育て…時間に追われる毎日に。やりたいことがどんどん叶う“じぶん時間”のつくり方、いま注目の「タイムコーディネート術」とは!?
まずは“心地よくないこと”を少しずつ手放していく
――タイムコーディネートの失敗例や、つまずきやすいポイントがありましたら教えてください。 吉武 無理にやることを詰め込んでしまう癖がなかなか抜けない人は多いです。手放し下手さんですね。 「自分の嫌なことを誰かに押しつけている気がして、気が引ける」「やりたくないから捨てるみたいで嫌だ」と、手放すことに罪悪感を抱いているのです。 手放すことは決してわがままではありません。もちろんいきなりすべてを投げ捨てるのはよくありませんが、かといって、「なんで私だけやらなきゃいけないの」「私がやったほうが早い」と自分の気持ちを飲み込んでしまうと、いつまでも時間に追われ、イライラがつのります。そんな時間を過ごすのは、自分の人生に対する責任放棄とも言えます。また、手放さずに抱え込むことは、まわりの人の成長や活躍機会を奪うことにもなるんです。 心地よさを軸におき、小さなことからでいいので、心地よくないことを少しずつ手放してみてください。そのためにも、まずは自分にとっての心地よい時間の使い方を知ることが重要なのです。 ――「続けるのが難しい」と思ってしまうのですが、続けるコツはありますか。 吉武 ポイントはいくつもありますが、「根気」「やる気」「モチベーション」など自分にムチ打つ頑張り方はひとまず、わきに置いておきましょう。 人間は基本的に怠け者です。まずは続かなくなりそうな理由をひとつずつつぶしておくことが大事です。自分が言い訳しそうなポイントを明確にしてつぶしておくことですね。 たとえば、「毎朝ウォーキングする」ことを目標にしたとき、「雨の日はやらない気がする」と思うなら、「外ではなくジムでウォーキングする」「雨の日はウォーキングの代わりに家でストレッチをする」など、自分が続けられる環境を整えておくことが必要です。
平等に与えられた24時間を、やりたいことを叶えるための時間に!
――「じぶん時間割」は、更新していくものだと思いますが、見直すときはどんなときでしょうか。 吉武 自分を含め、家族の生活リズムが変わるタイミングには、常に見直してほしいです。たとえば、入園・入学や、転職、異動などです。ほかにも、やりたいことが見えてきたとき、逆に、イライラや焦りが強くなったときも見直すタイミング。時間に追われると、余裕がなくなり、イライラしたりあせったりしがちです。そうしたときは、時間の整理をすると、心と時間の余裕を生み出せるようになりますよ。 ――タイムコーディネイトでみなさんが悩みがちなことがあれば、教えてください。 吉武 他の人がうまくいっている時間の使い方が、自分に合っているとは限りません。また、「仕事を頑張るなら、子どもとの時間をあきらめなければいけない」「子どもとの時間を大切にしたければ、やりたいことはあきらめなくちゃ」などと思っている人も少なくありません。0か100かではなく、どんなバランスなら心地よく、満足できる時間の使い方になるのか、自由に考えてほしいです。 すぐにジャッジするのではなく、まずは自由に思い描いてみましょう。その理想に近づくために、今何ができるのか、試行錯誤しながら自分のベストバランスを探してほしいと思います。時間の使い方も、100人いたら100通りです。あなただけの心地よい時間の使い方を探求してみてください。 ――最後に「時間がない!」が口癖のすべての人へメッセージをお願いします。 吉武 社会人として、上司として、妻として、母親として、地域住民の一員としてなど、役割が増えていけば、「時間がない」と感じるのは当然のことです。 でも、1日は24時間しかありません。ただし、24時間はだれにも平等に与えられた財産です。この限られた24時間という貴重な財産をどう使うかで、人生は変わっていきます。 その貴重な時間を「時間がない」とあせったり、あきらめたりすることに使うのではなく、やりたいことを一つずつ実現し、達成するための「行動」に使ってほしいです。 一つの達成体験が自信にもつながりますし、次のモチベーションにもなります。一気にいろいろなことを実現しようとするのではなく、時間の整理をしながら、一つずつ積み重ねていきましょう。ペースはゆっくりでもいいのです。 イラスト/川瀬はる(『じぶん時間割の作り方』より)取材・文/樋口由夏、たまひよONLINE編集部 自分の心地よさを優先した“じぶん時間割”で生きることは、わがままでも自己中心的でもなく、自分を大切にすること。それが巡り巡って子どもたちやまわりの人も幸せにしていくと感じました。誰もが試行錯誤しながら、自分らしい時間の使い方を見つけていけるといいですね。
吉武麻子(よしたけあさこ)さん
PROFILE TIME COORDINATE株式会社代表。大学卒業後、旅行会社勤務・韓国留学などを経て独立。疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていくオリジナルのタイムコーディネート術を考案し、のべ3000名以上に指南。2児の母。 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。
たまひよ ONLINE編集部