あの戦争、あの紛争はバイデン時代に始まった…橋下徹「なぜ西側リーダーは"トランプ大統領"でなければならないか」
元大阪市長・大阪府知事で弁護士の橋下徹さんであれば、ビジネスパーソンの「お悩み」にどう応えるか。連載「橋下徹のビジネスリーダー問題解決ゼミナール」。今回のお題は「有事のリーダー」です──。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、雑誌「プレジデント」(2025年1月17日号)の掲載記事を再編集したものです。 ■Question 今の世界情勢が求めるリーダーの資質とは アメリカの次期大統領にドナルド・トランプ前大統領が返り咲きます。「アメリカにおける民主主義の終焉」を嘆く声も多い中、橋下さんは世界情勢を鑑み、トランプ氏の再登板をむしろポジティブに評価していますね。有事のリーダーに必要な条件とは?
■Answer 正論の前にウクライナ市民の命や生活を守れ 時代や環境によってリーダーに求められる資質は変わります。平時に理想的なリーダーと、有事にふさわしいリーダーは違うのです。今の世界は「乱世」とまでは言えなくても、少なくとも「平時」ではないでしょう。ためしに周辺諸国のリーダーを並べてみると、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩総書記と、いずれも一筋縄ではいかないツワモノぞろい。この顔ぶれを見てすぐにわかるのは、先進国の学校秀才タイプのリーダーでは到底太刀打ちができない、ということです。この時代にアメリカ国民が再び政権をトランプ氏に託したのは、自然だし賢明な選択だったと思います。 だって、西側諸国のリーダーの中で金正恩氏と一対一の会談を行い、一緒にアイスを食べるなんていうことができるのはトランプ氏くらい(笑)。プーチン大統領でさえ、トランプ氏が相手ならウクライナ問題で交渉のテーブルに着くでしょう。味方からもライバルからも読めない男、しかしディール(取引)はできる相手。それがトランプ氏です。あまたいる世界の強権リーダーたちも今後のトランプ対策に戦々恐々としているのではないでしょうか。 第1次トランプ政権時代(2017~21年)を思い出してみてください。世界のどの地域でも大規模紛争は起きていませんよね。逆にトランプ氏の退陣後、民主党のバイデン政権下で頻発しています。21年にアフガニスタンからの米軍撤退で失態を演じて以降、ロシアによるウクライナ侵攻(22年~)や、イスラエルと武装組織ハマスの戦い(23年~)といった悲惨な紛争が起きてしまいました。 ところがリベラル派の知識人はもちろん、保守派のイケイケ政治家も言論人も、日本に住んでいるアメリカ出身のコメンテーターたちも、そうした現実を直視しようとしません。トランプ氏の勝利を「民主主義の終焉」、ひどい場合は「正気が狂気に負けた」と発言したりする。これは日本に限らず先進国に共通した現象です。 アメリカ国民に対して随分と失礼な話ですよ。25年からアメリカは大統領のほか連邦議会の上院・下院で共和党が多数派を占める「トリプルレッド」状態になります。これはアメリカ国民が真剣に考え投票した末の結論です。4年間の民主党政権に「否」の判断を下したわけで、それを「狂気」呼ばわりすることは、それこそ民主主義の否定・終焉です。