動作分析の専門家・筑波大学の川村卓教授が解説!大谷翔平&ジャッジ「二冠王の超絶打撃」を徹底比較!
異次元の活躍をする二人の共通点
英雄は英雄を知る――。今季のMVPに選ばれたヤンキースのアーロン・ジャッジ(32)は、10月27日(日本時間)に選手会の公式「X」でドジャースの大谷翔平(30)をこう絶賛した。 【画像】大谷&ジャッジの共通点と違いは?打撃フォーム「連続写真」で解説…! 「特別な選手だ。先発投手も野手もこなす。日々驚かされてばかりだよ」 大谷とジャッジは、言わずと知れたメジャーを代表する強打者だ。ともに本塁打(大谷54本、ジャッジ58本)と打点(同130、144)の二冠王に輝き、所属チームをワールドシリーズへ導いた。 本誌は異次元の活躍をする二人の打撃フォームの動作解析を、専門家である筑波大学の川村卓(たかし)教授に依頼した。両者の共通点と違いとは何か? 連続写真を見ながら、川村氏の解説に耳を傾けたい。 「①の始動は共通しています。頭の位置が、ほとんど動かず安定している。ボールの軌道をよく見られます」 違いが出るのは②からだ。 「大谷は左ヒジを身体の内側に入れ、バットのヘッドを大きく動かそうとしています。スイングスピードを加速させ、バットの先端が一番走っている時にボールをとらえ、より遠くへ飛ばそうとしているんです。一方のジャッジは、強靭(きょうじん)な背中の筋力をいかし身体をのけぞらせ、バットを素直に振り下ろしている。ヘッドをきかせた打ち方というよりは、持ち前のパワーをいかしてしっかりコンタクトする打撃です。スイングの速さより、確実性を求めたフォームですね」 ③で再び共通点が出る。両肩と両ヒジ、グリップで五角形ができているのだ。 「普通は腕が伸び切ってしまうのですが、二人は五角形を崩さずバットをボールへ効率的にインパクトさせています。肩甲骨(けんこうこつ)と胸郭(きょうかく)が、しっかりしているからこその動きですよ」 ④~⑤のフィニッシュは、両者で動きが大きく異なる。 「前述の通り、大谷はヘッドをきかせた打ち方で打球を遠くに飛ばそうとしています。グリップを大きく動かし、フォロースルーではバットが背中の後ろまで振り抜かれている。バットの芯(しん)で確実にボールをとらえようとするジャッジは、スイングがコンパクトでグリップを持つ形がほぼ変わりません。フィニッシュも、頭の上あたりで止まっているんです」 唯一無二の打撃フォームがいかに秀逸かを知ると、なぜ二人がメジャーの投手を圧倒できるのか納得できるだろう。 『FRIDAY』2024年11月15日号より
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