「北朝鮮がロシア派兵」その情報に現実味はあるか、兵士1万2000人、砲弾800万発の支援は可能か
もし北朝鮮軍がロシアに派遣され、戦場の経験を積むという情報が事実であり、今後詳細がわかってくれば、韓国側はおだやかにはいられないだろう。韓国軍はこの数十年、実戦経験がないためだ。 韓国はウクライナ戦争開始以降、ウクライナには殺傷兵器を供与しないと方針を持っていたが、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「段階的にウクライナを支援し、朝鮮半島の安全保障上、必要な措置を検討していく」と述べた。自国の兵器・装備を供与する可能性について明らかにしたものだ。
こうなると、ロシアも内心おだやかではないだろう。実は、韓国軍の装備・兵器の中には、長距離弾やミサイル、防空システムなどに、これまでのロシアとの軍事協力で得られた技術を利用して製造された兵器がある。 ■韓国製武器がウクライナに渡れば 韓国がこのような兵器をウクライナへ提供する動きをみせるとロシアは必ず牽制してきたが、それもこういう背景があるためだ。実現するとなれば、ロシアにとって相当嫌な状況になるだろう。また、韓国はウクライナの隣国・ポーランドに装備・兵器を輸出する計画を持っている。
結局、北朝鮮兵士のロシア派遣という事態について、現段階では、①一部の北朝鮮人がロシアにいる、それが戦闘兵力かどうかはわからない。②ロシア沿海州に3000人規模の北朝鮮兵士が移動して、何らかの訓練を受けているようだ。③もし兵士であれば、戦闘部隊の兵士か工兵部隊の兵士かさえもわからないということがわかるだけだ。 10月24日にウクライナ国防総省情報総局が、ロシアのクルスクに北朝鮮の部隊が到着したことを確認した。この際、「北朝鮮兵に対してはロシアが弾薬や防寒着のほか、毎月トイレットペーパー50メートル、せっけん300グラムが支給される」と付け加えたという。
「トイレットペーパー~」とのウクライナ側の発表は、北朝鮮とロシアを揶揄したものかもしれないが、ウクライナは北朝鮮の実情をあまりにも把握していないのではないか。 かつての北朝鮮の経済難という国際的評価を今でも信じ、その貧しさをあげつらって溜飲を下げたのかもしれないが、それは現実の北朝鮮に対してあまりにも無知蒙昧だ。北朝鮮の経済は、そこまで悪くない。 10月24日にアメリカのカービー大統領補佐官は北朝鮮軍兵士がロシアにいる事実を確認した。日本の岩屋毅外相も10月25日、「北朝鮮が兵士をロシア東部に派遣し、軍事訓練に関与していると信じるに足る情報が確認された」と発表した。米韓と協力して、関連情報の収集・分析を進めた結果だという。