「北朝鮮がロシア派兵」その情報に現実味はあるか、兵士1万2000人、砲弾800万発の支援は可能か
ウクライナやアメリカからみると、このような規模感になるが、実際に北朝鮮の事情はどうか。 北朝鮮から聞こえてくる指摘を総合してみると、北朝鮮はロシアに砲弾などを送ることはできるが、はたしてロシアが満足できるような、あるいは満足できる戦闘ができるほどの十分な量の砲弾を送れるだろうかという声が強い。それは、ロシアのほうがはるかに軍事大国で軍事産業大国だという認識と現実があるからだ。 ロシアの砲弾生産数は、アメリカ・CNNの報道によると月間約25万発、年間で300万発以上を生産できるという。これはヨーロッパのウクライナ支援国全体の生産量の3倍以上となる規模だ。
もし北朝鮮がすでにコンテナで1万~1万3000個分の砲弾を送ったとし、韓国国防相が指摘したように500万発相当の分量だとすれば、北朝鮮の生産量も、在庫があったとはいえ相当な規模になる。現在、ウクライナの戦場では1日2万発の砲弾が必要だともされている。 一方で、ロシア極東・ウスリースク近郊の工場では、北朝鮮の生産機材を使った弾薬生産プラントが稼働中と韓国紙が報道している。これによれば、ロシアでは老朽化して動かない砲弾生産機材を北朝鮮が現役で使っており、その機械を輸送して生産に入ったといった情報がある。
話はそれるが、仮にロシア海軍艦艇が数回北朝鮮と往復したのであれば、兵士の代わりにロシアが北朝鮮に何かを持ってきた可能性がなくはない。もしそれが核開発やミサイル開発にかかわるもの、あるいは原子力潜水艦の建造に核心的なものを輸送したのであれば、将来的には東アジアの安全保障に深刻な影響を及ぼしかねないことを留意しておくべきだろう。 話を戻す。ロシアにいるとされる北朝鮮兵士については、北朝鮮やロシアからは、以下のような話が聞こえてくる。
ウクライナ情報当局がSNS上で発表した兵士たちの姿は、韓国の情報当局が流した北朝鮮の精鋭部隊「暴風部隊」ではないという見方が多数だ。これは、人民軍に従事した北朝鮮からの脱北者たちが、自らの経験を元にそんな声を上げている。 ■北朝鮮兵士がロシア軍と一緒に戦えるのか またロシアが必要なのは戦場で有効な大口径の砲弾であって、外国人からの「兵士」は必ずしも必要ではないとの見方がある。ウクライナ側が伝えるように北朝鮮兵士が戦場、あるいは戦場付近にいるのであれば、それはミサイルなどの兵器を実験・評価するために派遣された技術専門の将兵であり、規模も当然小さく、戦局には大きな変化を与えるものではないという。