「北朝鮮がロシア派兵」その情報に現実味はあるか、兵士1万2000人、砲弾800万発の支援は可能か
ただ、北朝鮮が今後、大量の砲弾を送ることができれば、それはロシア軍にとって価値が出てくるだろう。 さらに、兵士が枯渇しているから苦肉の策として北朝鮮から派兵してもらったという見方があるが、一方のロシアでは「クルスクやドンバスなどの戦場では、兵士が足りないということはない」という政府関係者からの声も聞こえる。 ちなみに、「ブリヤート大隊」なる部隊が結成されたという情報については、北朝鮮の関係者らは一笑に付す。いくらモンゴル北部・ロシア領内のブリヤート共和国に住むモンゴル系住民が北朝鮮の兵士に顔格好が似ていたとしても、そんな偽装は北朝鮮側が好まない、というわけだ。
現段階では、派遣された北朝鮮兵士が戦闘要員なのか、あるいは工兵要員なのかがまだ断定できない。もし戦闘要員であれば「ロシアにとっては実戦では使いづらいだろう」とロシアの関係者は言う。それは、まずは言語の違いのためだ。 しかも、北朝鮮兵士がこれまで経験してきた訓練や軍隊内の習慣もロシア軍とはまったく違う。仮に戦場に出ても、戦果が挙げられるほどの統制・管理ができるのかは未知数だ。 前出の軍経験者の脱北者らも、「北朝鮮人民軍は金総書記のための軍隊、朝鮮労働党のための軍隊であり、外国の指揮系統などまったく念頭にないし、自分たちがそうなるとの想定さえもない。ロシアから指図・命令されるという組織形態になることに、かなりの抵抗感があるのではないか」と指摘する。
ただ、工兵であれば戦場での作戦環境の改善、あるいは占領地域の復興には役に立つかもしれないという。これまで、兵士を送るよりも単純に労働者を派遣する可能性のほうが高いという指摘は、北朝鮮からも多く出ていた。 伐木工などすでにロシア沿海州で派遣してきた経験があり、労働者の取り扱いについては北朝鮮労働者との意思疎通や労働習慣、管理もすでに熟知しているためだ。今後、「労働者」の派遣が拡大する可能性は十分にあると北朝鮮とロシアの関係者は口をそろえる。