残暑の季節『食中毒』に要注意!知っておきたい「ノロウイルス」や「黄色ブドウ球菌」 実はエコバッグにもキケンな落とし穴
9月に入っても、まだまだ続く残暑。この時期注意すべきなのが「食中毒」です。一般的には、ウイルス・細菌・有害物質がついた食べ物を食べて腹痛などの症状が起こることを食中毒と呼びます。食中毒の種類や対策などについて、帝塚山学院大学の西川禎一教授への取材などをもとに情報をまとめました。 【写真で見る】食中毒の原因となるウイルスや細菌…それぞれの特徴は?
旅館の湧水が原因?「ノロウイルス」で537人が食中毒
まずは「ウイルス」による食中毒について見ていきましょう。ウイルスは自力で増殖できず、人の体に入って増殖するのが特徴です。また、低温の環境で長く生存できるため冬を好みます。そのため、冷蔵庫に入れても増殖は抑えられませんが、加熱処理は有効です。 冬を好むウイルスですが、夏に食中毒が発生することもあります。その代表例が「ノロウイルス」です。食品や糞便などから経口感染し、症状は嘔吐・下痢・腹痛・発熱など。治療は対症療法が中心で、多くの場合1~2日で治るとされています。 大分県由布市の旅館では、ノロウイルスによる537人の集団食中毒が起こりました。旅館で使う湧水が汚染されている可能性が高いと県は判断していますが、この湧水について、国が定める検査を実施していなかったということです。ただ、食中毒発生直後に行われた検査では、湧水からノロウイルスは検出されず、正確な原因は特定されていません。 ちなみに帝塚山学院大学・西川禎一教授によると、ウイルスには「下水処理場」を通過するものもあるそうです。コスト面の問題もあり、下水についてはウイルスを完全に除去するのが難しく、環境汚染にならない範囲で川に排出され海に流れ込むこともあるとのこと。そのため、ウイルスを体内に蓄積してしまう牡蠣の生食は危険だと言われてきました。現在では、水質検査を行い安全な海域で養殖を行っています。
今の季節は「細菌」による食中毒に注意 “3原則”を守り予防を!
暑い季節に注意すべきなのが、「細菌」による食中毒です。細菌はウイルスと違って自力で増殖し、温度が高く栄養がある環境で増えやすいという特徴があります。代表的な細菌は次の3つです。 ▼サルモネラ菌…主に鳥が保菌。卵に入ることも多い。 ▼腸炎ビブリオ菌…主に海の魚が保菌。真水に弱い。 ▼腸管出血性大腸菌(O157など)…加熱不十分な肉や生野菜などが保菌。 細菌による食中毒の予防には、「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則を守ることが大切です。 (1)菌をつけない…まな板を食材によって分けるなど (2)菌を増やさない…冷蔵保存など (3)菌をやっつける…十分な加熱調理 ただ、この3原則で対応できないのが「黄色ブドウ球菌」です。この菌は人の皮膚でも生息していますが、食品に付着すると“毒素”を出し、激しい吐き気や嘔吐・下痢・腹痛などを引き起こします。治療は対症療法が中心です。 横浜の百貨店にあるうなぎ料理店では、販売した弁当を食べた161人が体調不良を起こし、90代の女性が死亡しました。盛り付け時に手袋を着用していなかったそうです。なお、黄色ブドウ球菌は加熱で死滅しますが、この菌が出した毒素は残ってしまうとのこと。過去には、加熱処理された牛乳に残存した毒素が原因で、食中毒を引き起こしたケースもありました。