「能登は元気だよ」 輪島・御陣乗太鼓で復興の音届ける
能登半島地震で被災した石川県輪島市名舟町の伝統芸能「御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)」の公演が3日、同県中能登町の商業施設で行われた。 【写真】伝統芸能「御陣乗太鼓」に見入る観客。泣いてしまう小さな子供の姿も 新春恒例の行事だったが、昨年は地震の影響で開かれず、2年ぶり。年明け初の公演では、打ち手がばちを高く振り上げ激しく太鼓をたたく姿に、集まった買い物客や地元の住民が見入っていた。怖がった小さな子供が泣き声を上げる一幕も。同県七尾市に帰省中の山岸恵美さん(39)は「毎年これを見て自宅に帰っている。迫力があってよかったです」と笑顔で話していた。 太鼓は安土桃山時代の1577年、上杉謙信の軍勢が名舟に攻め込んだときに幽霊や夜叉の面、海藻を身に着け太鼓を打ち鳴らす奇襲を仕掛け、上杉軍を追い払ったのが由来とされている。県の無形民俗文化財にも指定されている。 御陣乗太鼓保存会はこれに先立つ2日、地元の集会所で打ち初め式を実施。例年は集落の神社で行っていたが、地震で本殿が全壊。打ち初め式も2年ぶりだった。 保存会によると、約20人いる打ち手の半数は仮設住宅に暮らし、いまも金沢市内で避難生活をしている人もいるという。 地震前はほぼ毎日公演していたが、今は週に1回演奏するかどうかだといい、槌谷博之さん(57)は「すっかり体がなまってしまって」と公演終了後は息を切らしていた。 打ち手の江尻一希さん(31)は「昨年は地震に豪雨に散々な1年でした。今年は全国を回って能登は元気だよと太鼓の音で伝えていきたい」と語った。