【チャンピオンズC・レース回顧】ウィルソンテソーロの精神力に驚き ペプチドナイルが跳ね返された〝壁〟
[GⅠチャンピオンズカップ=2024年12月1日(日曜)3歳上、中京競馬場・ダート1800メートル] 【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】 渡辺 1~3着馬まで去年と同じという珍事だったが、引退レースのレモンポップは見事に連覇達成で有終の美を飾った。1分50秒1(良)は想定通りの時計。枠順が味方したのは確かにしろ、思い切った戦法で前に行き、ハイペースをしのぎきるのだから掛け値なしにすごい。能力減退とみて「連覇に黄信号」と書いたのが恥ずかしい。 柏木 前走の南部杯は勝ったにしても少しガッカリする内容でしたから、衰えを疑うのも無理からぬ話です。ですが、去年とほぼ同じような内容で勝ったということは、衰えがない何よりの証拠。隙のない仕上がりで臨み、新たな歴史をつくりました。 渡辺 ついフォーエバーヤング、ラムジェット、ウシュバテソーロが出ていたらどうだったかと想像してしまうが、最近はダート路線が海外にも広がったからな。このメンバーでは間違いなくナンバーワン。道中ついてこれたのは最後に脚が尽きたペプチドナイルくらい。スピードの絶対値が違うと認めざるを得ないな。 柏木 最後まで国内連対率100%は立派です。幅広い距離をこなしましたし、スタミナ系の牝馬とかけ合わせれば二千もこなせる子が出るかもしれません。種牡馬として成功するでしょう。さらに日本競馬界の隆盛に貢献してもらえれば。夢が広がりますね。 渡辺 2着のウィルソンテソーロは去年と同じ追い込み戦法で、わずかに差し切ったかに見えた。JBCクラシックで佐賀と片道20時間の往復をこなし、この厳しいローテでここまでやれるのは頭が下がる。中間もびっしりやって、これだけ強い競馬ができるのは並外れた精神力の持ち主だ。 柏木 去年と同じ惜敗でしたが、インコースを回った勝ち馬と外から回した差が出ましたね。ただ、去年より時計を詰めて、速い上がりでした。文句なしの競馬ができましたし、まだ5歳で先があります。楽しみですね。 渡辺 3着のドゥラエレーデは去年と違って後ろから内の狭いところをこじ開ける競馬で、ムーアの好判断が光った。このところ成績を落としていたので盲点だったが、改めて実力を誇示した。 柏木 芝、ダート二刀流は何かと難しいところがあるのでしょうが、砂をかぶりながら厳しいところをついてきましたからね。ここ2戦も決して調教は悪くなかったですよ。今回は大一番に向けての調整がうまくいったのでしょう。立派ですね。 渡辺 5着のペプチドナイルは最後、抜けてきたかと思ったが、ゴール前で脚いろが鈍った。勝ちに行ってここまでやれたことは称賛に値するが、距離の壁なのかな。 柏木 その通りだと思います。4着のハギノアレグリスはいつものように善戦しましたし、6着のサンライズジパングは、3着争いに顔を出しました。古馬相手に差し比べで勝つのはなかなか難しいですから、いい経験になったはずですよ。 渡辺 5番人気に推された俺の本命ガイアフォースはブービー負けで、読者の皆さまに申し訳ない。大外枠が厳しかったにしろ、スタートから今ひとつの競馬。それにしても負けすぎだけに、なんともなければいいのだが…。 柏木 1回使いたかったはずですから、もしかしたら陣営が予定した通りのローテじゃなかったのかもしれません。何とか間に合ったにしろ、順調さを欠いてGⅠはいくら能力がある馬でも厳しいですよ。フェブラリーS2着はまぐれではないので、ダートの実戦経験を積みつつ、改めて飛躍を期待したいですね。
東スポ競馬編集部