行動学のプロが野犬の預かりさんに。野犬もペットショップも変わらない「子犬のリスク」
譲渡のためにできること
私の「預かり」としての役割は、ビスコやポテトやパンプキンを譲渡につながるようにすることです。 臆病で外に出られなかった、最初の保護犬「アロイ」には、散歩の楽しさを教えました。 ビスコの、ほかの犬に対する敵意もだいぶ抑えられるようになってきました。 そして今回のポテトとパンプキンには、「人と一緒にいる心地よさ」を知り、「飼い主を大好きになれる」ようにしたいと思っています。それには、まず、私を大好きになってもらわないとなりません。 ポテトとパンプキンは、とにかく甘やかしています。 飼い犬のオレオには禁止していることも、子犬たちには許しています。ここは子犬の永住の「家」ではなく、「人を好きなる」ための訓練の場だからです。 ルールは、里親さんの家で覚えた方がいいのです。 それよりもまずは人と一緒にいたいと思ってもらえるよう、人といると楽しい、という感覚、人になでられたり、褒められたりすると嬉しい、という気持ちをもう少し育てたいなと思っています。 預かりの私を好きになってしまうと、里親さんに行ったときに、私を恋しがるのではないかと心配されることもあるのですが、一度人を信用できた子は、新しい里親さんと本当の家族になった時に信頼するものです。 「ここが自分の家だ」と認識すれば、犬は必ず信頼関係をつなごうとします。 それが犬の魅力でもあり、だから私たちは新しい家族を必死に探すのです。
高倉 はるか(獣医師・ペットライフアドバイザー)