行動学のプロが野犬の預かりさんに。野犬もペットショップも変わらない「子犬のリスク」
お散歩ごっこで散歩の準備
ところでなぜ家の中でこんなに大騒ぎをしているかというと、2匹ともまだワクチンが完了していないからなのです。 子犬にとってワクチンは、命にかかわる大事なもの。ワクチンが終わるまでは外出を控えるよう、多くの動物病院ではアドバイスしています。 ただ、様々な刺激が必要な時期でもあるので、可能なら抱っこして外を見せたり、他の犬や人ごみを避けたところで少しだけ外の空気を吸わせるくらいは、私はありだと思っています。 ワクチン後の散歩に備えて、首輪やリードをつける練習をしたり、リードをつけて家の中でお散歩ごっこなどもしてみましょう。 パンプキンほど人間嫌いでなければ、それほど難しいことではありません。 「おいで」を教え、来たら褒めながら首輪にリードをつけます。おとなしくリードをつけさせたなら、おやつを一粒あげる。 それを繰り返すうちに、呼ばれる、褒められる、リードをつけられる、おやつがもらえる、うれしい、となるし、散歩に行くようになると、リードを見るだけで嬉しい、自分からリードを持ってくるようになる子もいます。 でも、パンプキンは「おいで」ができないし、私に触られるのも嫌。もう少し時間がかかりそう。こんな時、ポテトやビスコのような「仲間」がいてくれるのは、助かります。
犬の性格と病気は育ってみないとわからない
野犬を飼う上で一番大変なのは、信用してもらうことかもしれません。 野犬はマインド的には野生動物です。飼い主不在の犬ならば、多かれ少なかれ人馴れの経験があり、人との楽しい記憶も残っているはず。けれども、野犬は人から餌をもらったことがありません。ひとりで、もしくは群れで餌を捕るしかなかった。そうやって生きてきた野犬やその子犬に信用してもらうには、かなりの根気が必要です。 とはいえ、犬の性格が出てくるのは、1歳を過ぎたあたりからでしょう。 ポテトは人馴れが早い、パンプキンは警戒心が強い、こういうのも性格だと思いますが、今後はもっと個性が出てきます。 それは、野犬だけでなく、ペットショップに陳列された子犬も一緒です。 人好きな犬、臆病な犬、活発な犬、おとなしい犬、主張の強い犬など、どんな個性が出てくるかは飼ってみないとわかりません。中には怒りっぽく、咬んで要求を通そうとする子もいます。性格だけでなく、病気が出てくることもあります。そうしたリスクは、実は野犬の子もペットショップに陳列された子犬も変わりません。 できるだけリスクを回避したいのであれば、ブリーダーさんに相談して、親や兄弟の様子を確認するのは、ひとつの方法です。生き物なのでリスクをゼロにすることはできませんが、1歳以降の様子がなんとなくは想像できると思います。