行動学のプロが野犬の預かりさんに。野犬もペットショップも変わらない「子犬のリスク」
野犬は野生動物ではない
野犬の問題がテレビや新聞などで騒がれている。 今年10月に放映されたNHK「クローズアップ現代」では、野犬対策に追われる自治体や、身銭を切って譲渡活動を行う保護団体の活動などを紹介していた。 【写真】ワタデキの次回の譲渡会で紹介される予定の山口県周南市の野犬の子犬 番組の中で、野犬対策にくわしいとされる帝京科学大学の佐伯潤教授は、野犬は「狂犬病予防法」という法律で、行政に対して、捕獲しなければいけない対象であること、野生動物とは違って、自然の中で自立して生きられるものではないと話している。 また、野犬が増える背景には、日本人には動物を管理するという意識が弱いというところがあり、避妊・去勢はかわいそうだとか、自由にしてあげたほうが幸せではないかと、放し飼いにしているなどの環境が残っていることを挙げていた。 FRaU webで連載中の動物支援団体「ワタシニデキルコト」代表の坂上知枝さんのところにも、野犬の引き取り相談が殺到している。 香川県から生後3週間の野良犬の子7匹、山口県では20匹の野犬の子犬。たった2ヵ月の間だけでも、27匹もの引き取り依頼があったのだ。 収容施設を持たないワタデキでは、通常、相談があると現地に赴き、犬の様子や置かれている環境を見て、緊急性の高い子はまず引き出し、そのほかの子は、一時保護を引き受けてくれる「預かりさん」を探す。 「預かりさん」が決まったら、引渡し前に血液検査などの健康チェックをはじめとする必要な医療を受けさせる。健康状態を把握するため、それぞれに、検査、ワクチン投与、駆虫を、ケガや病気が見つかれば治療も必要になるため、輸送費などを含めると、初期費用だけでも1匹につき最低5万円はかかる。 寄付やワタデキが開催するチャリティイベント収益だけではとうてい足りず、足りな い分はメンバーの持ち出しとなる。 「12月も収容される子犬の数が多く、何匹かは引き受けますが、現地の保護活動家さんやその預かりさんのところにはまだまだいます。 里親さんを見つけて譲渡に繋げれば、預かりさんの家が空き、次の子を託すことができるので、年が明けたら譲渡会を開こうと考えています」