掛布氏に聞く…藤川球児の引退試合「重信君は分かっていませんね」発言の真意
自身の引退試合が考えもしなかった重信のバッティングの賛否にまで及ぶことになって、男気にあふれる藤川は、心を痛めたのだろう。この日、また賛否の議論が再燃したことを受けて藤川はツイッターに「引退試合の対戦内容が少し話題になっている様なので…必要性を感じない議論ですね。僕は固定観念からは何も生まれないと思って人生送ってます。皆さんも前向きに楽しい毎日を。今日も天気良い」と緊急投稿。議論の終結を求めた。 そもそもの騒動の発端となった掛布氏の発言の真意は何だったのか。掛布氏は、「私はSNSもしていませんし、ネットの書き込みのようなものを見ないので、賛否が起きたこともよく知らなかったのです。何人かの知人から聞かされましたが、どうも誤解されて伝わっているように感じます」と、困惑していた。 「重信君は分かっていませんね、と言ったのは、決して三振するべきだという意味で言ったのではありません。藤川君が全球ストレートで勝負し、最速で149キロを投じました。彼が引退試合にこめたメッセージ、その1球、1球で、最後に伝えたかったものを感じて欲しかったのです。巨人は消化試合でしたが、重信君にとって野球人生のエポックになるような貴重な経験の舞台が回ってきたわけです。ならば、藤川君のストレートに対して彼のベストのスイングで勝負して欲しかったのです。彼のプレースタイルがフルスイングの打者でないこともわかっています。彼の求めるベストのスイングで、ひとつの時代を築いた藤川君のストレートと勝負して何かをそこからつかんで欲しかったのです。でも、残念ながら私には、中途半端なスイングに見えました。重信君は藤川君のメッセージを受け取ったのかな?それほどの貴重な打席だったことを分かっていたのかな?という意味なのです」 掛布氏は、その試合中継内で次打者が岡本和真だったことから「三者三振もいいですが、フォアボールを出して巨人の若き4番と勝負して終わる。ひそかにそうならないかなと。できれば申告敬遠でもよかったのではないか」とも話していた。 「藤川君をずっと見てきた阪神OBの一人、球界の発展を願う野球界のOBの一人としての願望です。引退試合というのは、状況によって、いろんな形があっていいと思うんです。個人記録がかかっていたり、チームが負けられない状況にあれば、相手が引退試合の投手であっても打者は真剣に結果を求めて打ちにいくでしょうし、投手は引退する打者を打席に迎えても本気で抑えにいくでしょう。公式戦ですから、それは当然です。状況に応じて引退試合は、投打共に1打席でいいのかもしれませんが、完全な消化試合であれば、ストレート勝負、フルスイング勝負といった真剣勝負の中にある、プロフェッショナルな去り際というものがあってもいいのではないでしょうか」