トヨタ・日産・パナソニックHD… 蓄電池・部素材の生産増強へ経産省が支援、総投資額は1兆円超
経済産業省は6日、電気自動車(EV)用車載電池や部素材などの生産増強に向け、トヨタ自動車や日産自動車、パナソニックホールディングス(HD)などの設備投資計画を支援すると発表した。総投資額は1兆70億円で、そのうち最大3479億円を助成する。国内の電池生産能力は、従来比約40%増の1億2000万キロワット時に引き上がる見通し。世界での調達競争激化を受け、政府は電池のコスト低減やサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化を加速する。 【一覧表】経産省が投資する車載電池投資計画 経済安全保障推進法に基づき、計12件の設備投資、技術開発計画を認定した。設備投資には総事業費の3分の1を、技術開発には2分の1を補助する。政府は国内の電池生産能力を、2030年までに1億5000万キロワット時にする目標を掲げている。 SUBARU(スバル)やマツダはパナソニックエナジーと組み、車載用リチウムイオン電池(LiB)を生産する。パナソニックエナジーはスバル向けには群馬県に工場を共同で新設し28年8月から生産を始めるほか、27年度には住之江工場(大阪市住之江区)で手がける電池を供給する。マツダ向けは住之江工場などでの増強に加え、山口県でも投資を実施する。 トヨタは傘下の電池メーカーであるプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)、プライムアースEVエナジー(PEVE)と共同で投資する。福岡県に新工場を建てるほか、全固体電池の負極材開発も行う。日産は原材料を調達しやすくコスト低減などが見込める「リン酸鉄LiB」を28年7月から生産する計画だ。 電池向け部素材では日本触媒が375億円を投じ、年2140万キロワット時分の電解質を28年7月から生産する。また東亞合成は愛知県で、26年10月から同1億4200万キロワット時分の車載電池用接着剤を生産する。投資額は38億円。経産省は、このほか電池製造装置メーカーや検査装置メーカーも支援する。