1200袋の大量ゴミ…「実家に帰省したら“ゴミ屋敷”になっていた」片付けを決意した“子の顛末”ーー「生前整理」をするか否か、それぞれの選択を追った
決して薄情なわけではなく、親への愛情は間違いなくあった。ただ、それを上回るしんどさが介護にはあるのだと、二見氏も再認識したという。 ■「生前整理」をする際に気をつけたいこと そして、最後は親が亡くなったときに実家をどうするか。持ち家でそのうち実家に戻る気があるのなら、最低限の片付けをしてそのままにしておくこともできる。しかし、賃貸だった場合は一気に片付けてしまうほかない。 だが、いざその場面になると、その大変さに残された子どもは立ち尽くしてしまう。葬儀やら相続やら、いろいろとやるべきことがある中、実家まで処理するのは肉体的にも精神的にも大きな負担となる。そこで、イーブイが重要性を訴えているのが「生前整理」だ。
子どもが2人いるならば、それぞれのアプローチで親を説得してあげるといい。だが、ここで気を付けたいのは2人揃って説得をしないことだ。 「2対1の構図になってしまうと、それだけで親にプレッシャーがかかってしまいます。ましてや、違う意見を同時に言われたら責められているような気持ちになってしまうでしょう。“それぞれ”別の角度から説得を試みることが重要です」(二見氏) 揉めてしまう親子でよくあるのが、「片付けられない親を持ってしまった」と子どもが被害者意識を持っているパターンだ。説得をする側の考えや感性は、ここまできたらどうでもいいのだ。いかに時間をかけて当事者に寄り添ってあげるか、その点に尽きる。
■残り短い人生を好きに生きてほしかった しかし、あえて「生前整理をしない」選択をとったケースもある。 現場は関西にある集合住宅の一室。かつては家族4人(父、母、長女、長男)で暮らしていたが、姉弟はそれぞれ独立し実家を出た。その後、父は亡くなり、母がひとりで住むことになった。 母の趣味は歌だったという。コンサートにも出演し、衣装を大量に買い込んでいた。小物や雑貨も多く、3LDKと広い間取りだが、部屋はモノで埋まり、生活は主にキッチンで送っていたそうだ。