1200袋の大量ゴミ…「実家に帰省したら“ゴミ屋敷”になっていた」片付けを決意した“子の顛末”ーー「生前整理」をするか否か、それぞれの選択を追った
2階に2つある和室は足の踏み場がなかった。介護が必要な身体になってから、階段を上がることがめっきりなくなったのだろう。布団、クッション、服、モノを詰め込んだダンボールに袋などが床いっぱいに並べられていて、物置部屋になってしまっていた。 ■母親の介護で疲弊していた娘 イーブイに片付けの依頼をしたのは、この家に住んでいる80代の女性本人ではなく、女性の娘の友人である明子さん(仮名・50代女性)だった。明子さんが片付けの経緯を話す。
「(80代の女性は)病気で今入院されていて、もう1人では生活できないということでそのまま介護施設に入らないといけなくなったようです。この家は引き払うことになるんですが、私の友人である娘さんも“何をどうしていいのかわからない”と困っていたので、私からイーブイさんに連絡しました」 娘から相談されたわけではなく、明子さんが自分で行動を起こしたのだという。それは、自身も過去に親の介護で苦労をした経験があったからだ。明子さんが続ける。
「私自身、過去に母親が要介護になり、住んでいた賃貸の家を引き払った経験があるんです。実家の問題に介護が絡んでくると、役所の手続き、お金のこと、家の片付けなど、やらなきゃいけないことや考えなきゃいけないことが山盛りで、頭も心も体も本当に疲れてしまうんです。それがどれだけ大変なことかわかっていたので、困っている人がいたら力になりたいと思っていました」 娘はかなり精神的に疲弊している様子だった。まだ50代なので健康体だが、気持ちの問題で体が思うように動かない。誰かに相談する気力も失っていたが、友人が困っている自分を見つけてくれたので助かった。
介護をする親族が同居している場合、家の中にあふれているゴミは介護をしている親族のモノであることが多い。というのも、親族は要介護者の世話でいっぱいになってしまうからだ。介護ベッドの周りは片付いている一方で自分のことはおろそかになってしまう。 二見氏の祖母が介護施設に入所する際、母親が言っていたことが今でも忘れられないという。 「私、何のために貯金してたんだろう。自分の老後のために貯金してたのに、お金ばっか飛んでいって」