1200袋の大量ゴミ…「実家に帰省したら“ゴミ屋敷”になっていた」片付けを決意した“子の顛末”ーー「生前整理」をするか否か、それぞれの選択を追った
現場にいた二見氏も、「この家はホンマにモノの量が尋常ではなかったです」と振り返る。なぜ、これほどまでに物量が増えてしまったのか。 「自分がこの家に戻ったときに、古いモノは捨ててしまえばよかったんだけど、家が広いもんだから“押し込め、押し込め”というふうになってしまったんです。そのとき方々に住んでいた兄弟たちの家も狭くてね。『荷物を置く場所がないから、置いておいてくれ』と言うもんだから、さらに量が増えてしまった」(住人の男性)
これだけ大量のモノがあれば、高齢の男性1人だけではどうすることもできなかったことは容易に想像がつく。何かきっかけがないことには手をつけられないほどの物量だが、思い切って片付けるに至った理由は何だったのだろう。 娘に説得される形で片付けることになったという男性が話す。 「私の健康状態が気になったし、歳も歳ですしね。もうこの際、やっておかないと。長年生まれ育った家なので古いものがそれなりにあるのはわかっているもんですから。子どもの世代になったときに片付けるのも大変だということで、片付けることにしました」
はじめは乗り気じゃなかった男性も、見て見ぬフリをできる物量ではないことに気づいてはいたのだ。これだけ大きな屋敷では借り手もつかない。子どもに相続するとなったら、売りに出すしかないだろう。しかし、この残置物の量では娘に迷惑をかけてしまう。 「私の親父も整理したかったんじゃないか」 男性は運び出されていくモノたちを見ながらそう言った。 ■80代の要介護者が住む、ゴミであふれかえった1軒家 親がさらに高齢になってくると直面する問題が「介護」である。金銭面の不安もあるが、親が施設に入るとなれば実家をどうにかしないといけない。
関西地方の郊外に建つ1軒家。ここには80代になる女性が1人で暮らしていたが、介護が必要な身体になり、部屋を片付けられなくなってしまった。もともとモノが多い家だった。本人や親族が時間をかけて不要品を選別していったが、家の中はモノだらけだ。 1階にある和室とキッチンスペースを見ると、ここに住んでいた女性の性格がよくわかる。とにかくこまごまとした雑貨が多く、それらが無造作に詰め込まれたカゴがいくつもある。空いているスペースがあるとそこにモノを置いてしまい、その上にまたモノを積み上げていってしまう。