WHILL・豊田鉄工・ヤマハ発動機…次世代モビリティーの開発が加速している
人口減少や高齢化、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展などを背景に、新たな移動や輸送の手段となる次世代モビリティーへの期待が高まっている。幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催中の「ジャパンモビリティショービズウィーク2024」でも、開発した実機などが披露されている。各社はモビリティーの市場拡大を狙い、他社との共創の可能性を探る。(名古屋・増田晴香、間瀬はるか) 【写真】ヤマハ発動機の原付二種スクーター「AXIS Z(アクシスゼット)」 電動車いすなどを製造するWHILL(ウィル、東京都品川区)は、労働環境改善に注目し産業用途での車両開発を進める。既存車両を基に日本通運と共同開発した「倉庫作業専用モビリティ」の試作機を展示。倉庫内の移動負担を軽減し、誰もがピッキング作業に従事できる。2025年内の実用化を目指す。WHILLの堀出志野執行役員は「多様な視点で移動課題の解決を一緒に考えていけることが大切」と共創に期待を込める。 豊田鉄工(愛知県豊田市)は最高時速6キロメートルの1人乗り小型モビリティー「COMOVE(コモビ)」を開発。3輪で小回りが利き、高齢者や障がい者も運転しやすい仕様だ。25年4月にまず介護用品としてレンタルを開始する予定。営業部の酒井秀彰主査は「福祉以外に観光地や施設内など使ってもらえそうなところを探っている」と出展の狙いを語る。 ヤマハ発動機は開発中の2人乗り電動モビリティー「DIAPASON(ディアパソン)C580」を展示した。主に農業向けで畑地や不整地などの路面に対応。今後、小型特殊車両として公道走行を目指す。26年の市場導入を計画する。ディアパソンは小型低速電気自動車(EV)の汎用プラットフォームで、多様な企業と1人乗りなどの車両開発を進めている。ディアパソン全体で共創相手を探索し開発を加速する。 ジェイテクトは社内の要素技術を活用してスタートアップとの新ビジネス創出を目指している。展示会ではこれまでの共創事例を紹介した。モーター制御技術などを生かして開発しているのは、飛行ロボット(ドローン)の姿勢や速度を制御するシステム。プロドローン(名古屋市天白区)製のドローンに搭載し実証を開始した。現状は海外製の高価なものしかなく、安全で信頼性の高い国産の制御システムでドローンの可能性を広げる。 Hakobot(ハコボット、宮崎市)は、4輪駆動・操舵(そうだ)で耐荷重100キログラムの重量物を自動配送できるロボットを展示した。最高時速6キロメートルで3次元(3D)高性能センサー「LiDAR(ライダー)」などを搭載。工場間の部品運搬や駅・ホテル間の手荷物配送の実証を進め、人件費削減などにつなげる。今後は遠隔監視・操作システムを確立し、25年度の商用化を目指す。利用領域の拡大などで他社との連携を検討する構えだ。