絶滅一転、50年ぶり生息確認 渥美半島にアカハライモリ「渥美種族」
愛知教育大は6日、愛知県南東部の渥美半島で約50年前に絶滅したとされたアカハライモリの固有種族「渥美種族」が同半島(同県豊橋市内)で生息していると発表した。同大は「著しい地域多様性を示すアカハライモリの進化史を解明するうえで重要な知見となる」としている。 【写真】50年ぶりに生息が確認された「渥美種族」 同大によると、2021年2月に市民から「古井戸の清掃中に偶然発見した」との情報提供があり、同大や市自然史博物館などの共同チームが捜索を開始。23年4月以降、市内の耕作放棄地など2カ所で約200匹の渥美種族が生息しているのを確認した。 アカハライモリは本州、四国、九州とその周辺の島に生息し、地域ごとに形態や行動、遺伝子などが異なる。東北▽関東▽渥美▽中間▽篠山▽広島――の6種類の地方種族が存在するとされる。 渥美種族はオスに婚姻色(繁殖期に現れる体の色)が現れないなどの特徴がある。渥美半島では74年を最後に確実な発見記録が途絶え、絶滅したと考えられてきた。一方、16年の同大の研究で愛知県南部・知多半島のイモリが渥美種族の残存集団であることが判明している。ただ、愛知県レッドリストでは野生で絶滅する危険性が極めて高い「絶滅危惧ⅠA類」に分類され、県条例では指定希少野生動植物種に指定され、捕獲が禁止されている。 同大の島田知彦准教授によると、哺乳類や鳥類であれば目につきやすく、ふんや足跡などから確認できるケースが多いが、イモリの場合は体長も小さく、水陸両方で生息する可能性があるため確認に困難を伴うという。島田准教授は「種の保全や繁殖のための方法を、自治体などと連携しながら探りたい」と話している。【梶原遊】