開発者インタビュー、スマートウォッチwena wristが提案するもう一つの解
主役はアナログ時計、スマートウォッチは“黒子”
最後に、クラウドファンディングで目標を大幅に上回る1億円以上もの支援が集まったことについて、對馬さんは「時計というのは実物を見て質感などを確かめた後に買うのが一般的なので、このように多くの人が出資=購入意思を決めてくれてとても驚いています。プレッシャーもありますが、製品を完成させて多くの人が喜んでくださる光景を早く見たいです」と目を輝かせて語っています。 大学生の頃から考えていたコンセプトが形になり、そして多くの人が気に入って使ってくれているというシーンを想像するだけで、「夢のようでとても信じられないが、泣きそうになるくらい嬉しい」と對馬さん。すぐそこまで迫っている夢を実現するために、来年春の完成品デリバリーに向けてデザインのブラッシュアップや量産に向けた準備などを進めているそうです。「wena wristは既存のアナログ時計の文化の良さを残して、スマートウォッチの利便性を提供したいというところから開発しました。時計本体とバンド部分は完全に分離させることができる設計です。wena wristの時計本体は、今回ツテがあってシチズン社に作って頂いています。ゆくゆくは、服飾ブランドや腕時計ブランドともコラボレーションしたいです」(對馬さん)。 そして、今後の目標はwena wristの量産製品化だけでなく、海外への挑戦だといいます。「日本発のスマートウォッチとして、世界と戦いたいですね。wena wristはあくまでアナログ時計としての価値を立たせて、スマートウォッチとしての機能は“黒子”に回るという日本人らしい謙虚なスマートウォッチだと思うのです。見た目の新しさはないが、内側はものすごく新しいという製品コンセプトで世界を驚かせたいと思います」と對馬さん。ウェアラブルデバイスの将来を見つめる若者の挑戦は、まだまだ始まったばかりです。 (取材、執筆:井口 裕右/オフィス ライトフォーワン)