開発者インタビュー、スマートウォッチwena wristが提案するもう一つの解
腕時計のバンド部分にウェラブルデバイスの機能を搭載した「wena wrist(ウェナ リスト)」が、クラウドファンディングを通じて目標額1000万円の支援を募集したところ、2か月間で2000人以上のサポーターから約1億円の支援を受け、日本のクラウドファンディング史上最高記録を樹立しました。ソニーの新規事業創出プログラムから生まれたというwena wristを開発したのは、入社して2年目という26歳の對馬哲平さん。wena wristを生み出した背景や、ウェアラブルデバイスの将来に対する考えを伺いました。
生み出したのは、アナログ時計の良さを活かしたスマートウォッチ
wena wristは、見た目も機能も普通のアナログ時計ですが、バンド部分にスマートウォッチとしての機能を搭載している点に、一般的なスマートウォッチとの大きな違いがあります。 ベルト部分のピース(駒)内部には、基盤やアンテナ、通知用のバイブレーターやバッテリーを収めていて、電子マネー機能、スマートフォンと連動した通知機能、歩数や消費カロリーなど活動量のトラッキング機能を備えています。アナログ時計とスマートウォッチのハイブリッドと言える製品です。 なぜこのような製品を思いついたのでしょうか。對馬さんは、大学時代からアナログの腕時計もデジタルのウェアラブルデバイスも大好きで、いつか自分自身で世界と戦えるウェアラブルデバイスを開発したいという夢を持っていたといいます。しかし、アナログ時計も着けて、リストバンド型のウェアラブルデバイスも着けると、腕にいくつものデバイスを着けることになり煩わしくなってしまいます。 「アナログ時計として長年培ってきた文化や伝統を大切にしながら、便利な機能のついたウェアラブルデバイスを作れないか」。そう考えた對馬さんは、腕に巻くためだけに存在していたベルト部分に新たな価値を持たせることを思いついたのだそうです。 「アナログ腕時計のヘッド(時計部分)にスマートウォッチに必要な部品をすべて搭載すると、ヘッドが分厚くなり腕時計の美しさを損なってしまいます。そこで、ヘッド部分はあくまでアナログ時計の“聖域”にして、スマートウォッチのための部品はバンド部分に集結させようと思ったのです」(對馬さん)。