台湾人に日本食は濃い? 料理研究家・小河知惠子さんが解説「台湾の意外な食事情」
台湾料理研究家として活躍する小河知惠子さん。8月に出版した『本当は秘密にしたい台湾のおいしいお土産』(辰巳出版)は、台湾の食に魅せられた小河さんの「台湾に来たらコレ買って帰って!」という思いが形になった一冊です。お子さんと台湾で暮らして5年が経ちます。台湾特有の食文化についてお話をうかがいました。 【写真】台湾の市場でショーケースに並ぶ果物
台湾と日本の家庭料理の違い
――日本食と台湾食の文化の違いは何ですか? 違いはいっぱいあります。 例えば米。日本で作られている米は、ほぼうるち米ともち米ですよね。台湾も主食は米ですが、主に売られているのは、うるち米、タイ米のような長細いインディカ米、丸いもち米と長細いもち米の4種類です。それぞれにちゃんと役割があって、うるち米は日本と同じように炊いていただくお米、インディカ米は砕いたり粉にしたりして使われることが多いお米です。 丸いもち米は団子や甘いお菓子にすることが多く、長いもち米はおこわやちまきなど塩気のある炊き込みごはんなどに使われます。丸いもち米でおこわを炊くことはほとんどありません。 こちらでは、米粉といえばインディカ米で作ったものが主になるのですが、その米粉を使った料理も無数にあります。 日本では、アレルギー対策や健康のため、小麦粉の代用品として米粉を使うことが多いですが、台湾では、米粉でなくては作れない料理がたくさんあり、大根餅などもそのひとつです。 また、同じ食材でも調理法が違うことが多いです。 例えば、鶏肉。日本だと、焼いたり、唐揚げにしたり、ということが多いと思いますが、台湾では新鮮な鶏肉が手に入ったら、まずスープにします。2日以上経過して鮮度が落ちてきたら、焼いたり揚げたりする、という調理法になるんです。 柔らかいブロイラーは揚げものに、歯ごたえのある地鶏はスープに、などといった使い分けの仕方もありますよ。市場で購入する時は、オスかメスか、ということも念頭に入れます。しっかり焼くなら脂が多く硬くなりにくいメス、さっぱりした蒸し物やスープなどには、筋肉質で引き締まったオスが適しています。 ――調理法のお話がありましたが、家庭では、どんなものを作ることが多いですか? やはり、スープはどの家庭でも定番のメニューです。 日本のみそ汁のように添えるものという感じではなく、一品料理として野菜や肉などがたっぷり入ったものが多いです。 調理法はけっこう豪快で、鍋や電鍋(電気鍋)に下茹でした肉を入れて、生姜や野菜類などを入れて、煮るだけ、みたいな作り方をしている人が多いですね。酒や塩などは後から加えることが多いです。 あとは、炒める料理と蒸す調理が多いです。煮込む料理も多いですが、少しだけ気合が入る、という感じでしょうか。