発達障害の子、親が「専門家顔負けの支援」の中身 子どもの特性に合った関わりの技術を習得へ
海外とは異なる日本の発達支援の特徴
発達障害の子どもを支援する手法はさまざまあるが、アメリカで発展したものの1つに応用行動分析学がある。ADDSは、応用行動分析学と発達心理学の知見に基づいた支援を開発し、効果を示しながら事業化、政策提言にも積極的だ。日本における発達支援の特徴や課題はどんなところにあるのだろうか。 「アメリカやイギリスでは、エビデンスに基づいた発達支援が政策と連動し、ガイドラインが出されています。行政機関がリードしてエビデンスに基づく支援の指針を出すという点において、日本はまだ課題があると思います。福祉領域では医学的な診断がされる前の支援が重視されており、それはよい面もありますが、エビデンスに基づいた支援をどのように制度に組み込むかという点では後れを取っています。 文化的な違いもあり、欧米では特性に合った効果的な支援を受けることが子どもの権利として捉えられる傾向がありますが、日本の福祉では『子ども』として丁寧に向き合うことが重視される傾向を感じます。どちらも大切なことですから、両方の視点やアプローチをバランスよく制度に取り入れていく必要があると考えています」 日本で発達支援につながるタイミングは、主に2つある。1歳半健診と3歳児健診で、多くの自治体では自閉症のスクリーニングを行っていて、気になる点が見つかれば療育を受けることを勧められる。保育園や幼稚園から療育を勧められるケースもあるだろう。ただ、未就学児は投薬ができない場合も多く、医療につながるメリットを感じない、また診断を受けることに抵抗がある保護者も多く、医療機関を受診するのは就学前ということも多いという。 「療育を受けるには、自治体の障害福祉課などで障害者通所受給者証を発行してもらいます。この書類があれば、3歳までは1割負担で、3歳以上ならほぼ無料で療育を受けられます。受給者証の発行に必要な書類は、保健師や相談機関の心理士が意見書を書いて提出します。療育機関には民間事業者も含まれるので、ある程度選べる体制にはなっています。こうした未就学児に対する障害福祉サービスは児童発達支援と呼ばれます。小学校に上がると『放課後等デイサービス』という福祉制度があり、大枠は児童発達支援と同じ仕組みで利用できます」
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