「頭痛」の検査方法はご存じですか? 受診のサインや治療法も医師が解説!
頭痛の原因がわかったら、どのような治療がおこなわれるのか?
編集部: 検査により頭痛の原因がわかったら、どのような治療がおこなわれるのですか? 原先生: まず二次性頭痛の場合には、それぞれの原因に即した治療がおこなわれます。一方、一次性頭痛の場合には主に薬物治療をおこないます。一次性頭痛の治療は、「頭がズキズキと痛いときの急性期治療」と「痛みの頻度と程度を減らす予防治療」に分類されます。 編集部: 急性期治療では、どのような薬剤が用いられるのですか? 原先生: 「アスピリン」や「アセトアミノフェン」を処方することがあります。そのほか、片頭痛の治療薬としては「トリプタン」や「ジタン」を使うことがあります。 編集部: 色々な薬が用いられるのですね。 原先生: 急性期治療で気をつけてほしいのが、「これらの薬を過度に使用すると頭痛が慢性化したり、悪化したりする場合がある」ということです。 編集部: それはどういうことでしょうか? 原先生: 現在、日本で問題になっている頭痛の1つに「薬剤の使用過多による頭痛」というものがあります。これは「1カ月に10~15日以上、3カ月以上にわたって薬を使用した場合に起きる頭痛」と定義され、もともと頭痛持ちだった人が、薬を長期にわたって使用したことにより、反対に頭痛が起きやすくなってしまった状態を指します。 編集部: ダラダラと頭痛薬を長期にわたって服用するのは危険なのですね。 原先生: はい。注意したいのは、薬剤の使用過多による頭痛は市販薬に限らないということです。場合によっては病院で「頭が痛い」と訴えると、「頭痛薬を出しておきますね」と言われ、10日分以上、薬を処方されることがありますが、この場合も要注意です。頭痛薬の種類によりますが、10~15日以上連続して服用するとかえって頭痛が起きやすくなり、さらに、治りにくい状態になってしまいます。10日間服用して頭痛が治らない場合には、必ず専門医を受診しましょう。 編集部: 頭痛を予防することもできるのですか? 原先生: 頭痛の種類によっては、予防薬が開発されているものもあります。例えば、片頭痛の予防薬としては、これまで内服薬が用いられてきましたが、近年、登場したものに「CGRP関連抗体薬」があります。痛みの原因物質であるCGRPをブロックしたり、CGRPが結合する受容体を塞いだりすることによって片頭痛を予防するという注射薬です。これらによって、頭痛の回数を減らすことが可能です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 原先生: 「頭痛くらいで病院を受診してもいいのだろうか」と迷い、市販の頭痛薬で治そうとする人は非常に多い印象です。しかし、頭痛は正しく診断し、適切に治療をおこなって症状をしっかりコントロールすることが重要です。頭痛の診療ガイドラインでは、「慢性的な片頭痛による経済損失は、年間3600億円~2兆3000億円にものぼる」とされています。我慢せず、専門医を受診して適切なコントロールをおこなうことで、仕事の生産性や勉強のパフォーマンスも上がります。頭痛で困っていることがあれば、ぜひ、お気軽にご相談ください。