村田製が新中計、27年度売上収益2兆円 AI拡大で上振れも
Ritsuko Shimizu Shinichi Uchida [東京 25日 ロイター] - 村田製作所は25日、2027年度まで3カ年の新中期経営計画を公表した。27年度の目標として売上収益2兆円以上、営業利益率18%以上・投下資本利益率(ROIC、税引き後)12%以上を目指す。AI(人工知能)の拡大により、2兆円には上振れ余地があるとしている。24年度の予想は1.7兆円、17.6%、10.2%。 中島規巨社長は会見で、今中計は中期方針2030年の実現に向けた仕込みの3年と位置付けた。27年度の売上収益については「AIによる急激な市場拡大や取り組み強化により、10%の成長上振れ余地を相当な確度で見込んでいる」と述べた。 為替の前提は1ドル=140円(24年度予想は145円)。 業界1位のコンデンサーは、24年度のシェア40%を30年度には43%に引き上げる。24年から30年までAI機能搭載サーバー向けの需要が年平均18%で成長するとみている。 また、利益率はそれほど高くないボリュームゾーンも取りに行く。プロセスや材料を見直しながら同社が作り続けることで、中国勢の台頭を防ぐ意味合いもあるという。 ITインフラ向け電源モジュールや高周波モジュールは成長市場として期待している。 赤字が続く電池事業については、売却の可能性を含め「常にそういう目線で見ている」とした。ただ、環境保全のために事業を継続しており「今は黒字化するための施策として、パワーツールに集中して取り組んでいる。今は自力でそこまで持っていける自信の下で進めている」と述べた。 新中計では生産増強や地政学リスクへの対応などへの設備投資6800億円、M&AやITインフラ強化などへの戦略投資2200億円、株主還元4000億円の計画も示した。純資産配当率(DOE)はこれまで4%を掲げていたが、段階的に5%に引き上げる。 M&Aについては、シェア1位を確立する領域や高い売り上げ成長を目指す領域でのシェア拡大と今後スケール化を目指す事業でのビジネスモデル獲得を対象にするとした。 24年度までの現中計では売上高2兆円、営業利益率とROIC(税引き前)は20%以上を目標に掲げていたが、未達に終わりそうだ。 世界的なインフレや景気循環の悪化でスマホやPCなどの部品需要が下振れたという。また、伸びる領域にいち早く経営資源を振り向けることができなかったことも要因と分析した。