【試乗】「CP2」のスポーティな走りを舗装路で味わい尽くすなら、YZF-R7推し!
CP2が操る楽しさを加速させる!
軽量コンパクトで取りまわしやすく、直進性とコーナリングでの安定性を両立しているYZF-R7は、市街地でもマシンコントロールする楽しさが感じられた。そんな楽しさをさらに増してくれるのが、CP2のエンジン特性だ。 アイドリング(メーター目視でおよそ1350rpm)付近から太いトルクが立ち上がり、3000rpmでも交通の流れに乗れる加速力を発揮する。その回転域ではシフトチェンジによるトルク変動が少なく、マシン挙動もギクシャクしないので乗り心地も非常にスムーズ。高速道路では6速4000rpmで時速100kmに到達するなど、低中回転で実用的なトルクとパワーを発揮するクロスプレーン・コンセプトの乗りやすさが体感できる。さらにMT-07系で初搭載されたアシスト&スリッパークラッチのおかげでクラッチレバー操作も軽く、スロットル操作に対するエンジンの反応もダイレクトで、フロントブレーキも初期からカチッとした制動力が発揮されるなど、操作系の軽さがライディング中の車体を軽く感じさせるので、幅広いライダー層が扱いやすさを感じるはずだ。 そうした扱いやすさを実現しつつ、3000rpm以上回すとトルクとパワーはさらに増し、ミドルクラスらしい加速力を発揮する。中高回転域では速度も増していくが、前後輪の接地感は分かりやすいままで、セパレートハンドルによる正確かつダイレクトなハンドリングも安定しているので、マシンとの一体感も損なわれない。 そのYZF-R7にはエンジン特性を変化させるモード選択やトラクションコントロールは装備されていない。それは低中速域での扱いやすさと高速域でのスポーティさが両立した、CP2本来のエンジン特性のみでライディングするということでもある。YZF-R7のタイトなライディングポジションは極低速から高速域までつねに一体感を感じやすく、マシンコントロールもしやすいので、MT-07系の中では、舗装路でCP2らしさをいちばん体感しやすいマシンになっていると思った。
【2022年型ヤマハYZF-R7主要諸元】
・全長×全幅×全高:2070×705×1160mm ・ホイールベース:1395mm ・車重:188kg ・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒688cc ・最高出力:54kW(73PS)/8750rpm ・最大トルク:67N・m(6.8kgf・m)/6500rpm ・燃料タンク容量:13L ・変速機:6速リターン ・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=シングルディスク ・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17 ・価格:105万4900円
小川浩康