「うっかりミス」で100万人超が企業年金を失う事実…なぜ企業年金の減額・不支給が起こる?
今春、退職をされた方の中でも、今までの勤務実績に応じて企業年金や退職金を受け取った方もいるでしょう。 【写真でみる】自分が所属している「企業年金」の特徴、理解できていますか? 写真で企業との関係性をチェック 退職一時金や年金として受け取ることで、退職後の生活の安心感が増すでしょう。 しっかりと手続きできれば良いのですが「受け取り手続きをしていなかった」「忘れていた」「そもそも加入していることを知らなかった」という人が見受けられます。 勤務先が手続きしてくれることもありますが、加入していた制度を知らないと受け取り漏れ、手続き漏れが発生するので注意が必要です。 今回は、企業年金の種類と制度について確認していきます。記事の後半では、受給漏れを防ぐための手立てを考えていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
自分の勤め先にある「企業年金」、知っていますか?
勤務先でどのような企業年金制度があるか、その手続き方法を知っていますか。 多くの方が一時金や年金形式で受け取られると思いますが、退職前や退職後に内容を確認して手続きをしましょう。 ●〈主な「企業年金」の一覧〉 ・確定給付企業年金(DB) ・企業型確定拠出年金(DC) ・厚生年金基金 これらの制度は、公的な国民年金(1階部分)や厚生年金(2階部分)の上乗せ部分となり、日本年金機構や共済組合での手続きできません。 各機関での手続きとなるため、手続き漏れが発生しがち。しっかりと把握しておく必要があるといえるでしょう。 次の章から、それぞれの制度について確認していきましょう。
【解説】「企業年金」の仕組みをそれぞれチェック
それでは、前章で挙げた「企業年金」について詳しく見ていきましょう。 ●確定給付企業年金(DB) 企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期に従業員が給付を受けることができる確定給付型の年金制度です。 「基金型」と「規約型」の2種類があります。 基金型は企業年金基金、規約型は企業などが年金資産を管理・運用しています。 転職などで中途退職した場合、加入期間が年金受給の要件に満たない場合、脱退一時金を受け取ることができる場合もあります(加入期間が3年以下の場合、脱退一時金の支給対象外の規約もあります)。 脱退一時金は、転職先の企業年金等や企業年金連合会に移管し、将来の年金につなげることも可能です。 ●企業型確定拠出年金(DC) 企業が従業員のために掛け金を拠出し、従業員自身が運用をするのが「企業型確定拠出年金(DC)」です。 運用方法によって受給できる金額が変わるため、同じ勤続年数であっても受給予定額が変わることがあります。 リスクは従業員が負っていますが、運用結果が良ければ多くの資金を受け取り可能。 ただし、加入時の年齢にもよりますが、60歳または65歳以前に一時金としての受給は認められていないことも。転職後に他の企業年金に加入するか、個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移管できます。 企業型確定拠出年金は、退職後に手続きをせずに6ヶ月を経過してしまうと、今まで運用していた年金の資産が換金され、国民年金基金連合会に自動移管されます。 その際にも手数料が差し引かれてしまうため、早めに自分で手続きをしましょう。 換金されたとしても受け取り年齢に達しておらず、今後も運用しない場合でも、管理手数料などの費用が毎月かかってしまいます。 運用しない場合、資産は増えず手数料が引かれてしまうため、将来の年金資産が減ってしまうため注意が必要です。 次の章では、もうひとつの代表的な企業年金である厚生年金基金について解説します。