バイデン一本化でトランプ再選は? コロナ対応が決める米大統領選
「コロナ後」の世界秩序をどう描くか
また、新型コロナウイルス対策がうまく進んだ後の国際秩序を占うような議論が今後のトランプとバイデンの選挙戦で見えてくるかもしれない。 「コロナ後」の世界は、安全という名の国家の管理体制の強化など、民主主義的ではなく、強いリーダーが権威主義な体制の下で、コロナ禍のようなグローバル化による負の部分を抑え込む動きが加速する可能性がある。さらには反自由貿易、反グローバル的な動き、人の移動の制限、プライバシーなどの市民的自由の抑制も目立っていくであろう。 第2次大戦後、アメリカ主導の世界秩序で動いてきた国際社会が、「コロナ後の世界秩序」(というものが出現した場合)にどう接していけるのかも、次の大統領(トランプ再選でもバイデン新政権でも)にとって大きな課題となる。そのような議論が討論会などで見えてくるかもしれない。
-------------------------------------------- ■前嶋和弘(まえしま・かずひろ) 上智大学総合グローバル学部教授。専門はアメリカ現代政治。上智大学外国語学部英語学科卒業後、ジョージタウン大学大学院政治修士課程修了(MA)、メリーランド大学大学院政治学博士課程修了(Ph.D.)。主要著作は『アメリカ政治とメディア:政治のインフラから政治の主役になるマスメディア』(単著,北樹出版,2011年)、『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』(共編著,東信堂,2014年)、『現代アメリカ政治とメディア』(共編著,東洋経済新報社,2019年)など。