バイデン一本化でトランプ再選は? コロナ対応が決める米大統領選
共通項もある「バイデン×トランプ」
民主党側からみれば、バイデンはやはり「トランプと渡り合える唯一の候補」という印象が強いかもしれない。サンダースに比べると中道で、長年上院議員、副大統領を務めてきた政治経験は圧倒的だ。白人ブルーカラー層に訴えかける気さくさや、うっかり言葉を滑らせる放言癖などもトランプ大統領とかなりの共通項がある。 その分、トランプが2016年に勝利したラストベルト4州(オハイオ、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン)での民主党の巻き返しが期待されている。南部の激戦州のうち、ノースカロライナ州あたりも切り崩せる可能性もある。 バイデンはトランプにとっては戦いやすい相手かどうかについては、何とも言い難い。バイデンは、本選挙の11月3日にはトランプよりも3歳年上の77歳と、民主・共和両党の指名候補としては、史上最高齢である。バイデンは、かつては厳しい言葉を連発する「猛犬」のイメージだったが、高齢のためか、物忘れが激しく、言い間違いも多い。トランプ大統領は今後、「スリーピー・ジョー(眠たいバイデン)」のニックネームを連呼するだろう。 トランプ大統領はTPPやパリ協定など、オバマ前政権が行ってきた政策を大きく否定し、そこからの離脱を常に主張し続けてきた。そのオバマ政権の副大統領がバイデンであったことも絶好の攻撃材料となる。オバマ前政権(さらにいえば前のクリントン、ブッシュ政権も)が許してきた中国の台頭の責任をバイデンに向けるのは必至だ。既に、中国とバイデンとの密接な関係をトランプ陣営はインターネット上の選挙CMなどでやり玉にあげ始めている。中国が「不公正なことをして大国になった」という見方はアメリカ国内でも広く共有されているため、中国政策も「バイデン対トランプ」の大きな争点となる。
世界で最も感染が広がっているアメリカ
2月29日に最初の死者が出てからわずか1か月半。3月半ばに日米の状況が逆転した後、急速にアメリカの状況は悪化している。4月に入ってからは1日に1000人以上の死者を記録する日も多く、アメリカ東部時間17日時点の死者は約3万1000人、感染者は約69万人となっている(ジョンズホプキンス大学調べ)。日本の17日正午現在の死者148人、感染者数9167と比べるとけた違いである(厚生労働省調べ)。 アメリカの場合、感染者数や死者の半数がニューヨーク州、残りはカリフォルニア州、ワシントン州、フロリダ州などだが、これらの州以外でも全米50州すべてで感染は広がりつつある。特にニューオーリンズやワシントンDCなどの新たなホットスポットで感染が広がっている。このペースで死者が増えていくと、政府の対策をまとめるアレルギー・感染症研究所のファウチ所長の「米国内の死者数は20万人に上るかもしれない」という重い言葉もかなりの現実性を帯びている。