バイデン一本化でトランプ再選は? コロナ対応が決める米大統領選
コロナ対応の評価が大統領選の分かれ道
コロナ禍は今後の大統領選挙の行方にも大きな影響を与えるのは言うまでもない。大きな出来事が起きると、人々が結束してリーダーを支持する「ラリー効果」が生まれる。湾岸戦争(1991年)とイラク戦争(2003年)時、当時の大統領だったブッシュ親子の支持率はそれぞれ9割を超えたこともある。ただ、コロナ禍の現時点で「戦時大統領」であるトランプ大統領の支持の伸びはわずか数ポイントとかなり限定的だった。 というのも、アメリカ国内では世論の分断が進んでいるためである。政治的な指向性が「保守」と「リベラル」に分極化し、その分、11月3日の大統領選も「そもそも接戦になる」というのが前提だ。 トランプ大統領が新型コロナウイルスの対応で「勝った」と有権者に見られるか「負けた」と評価されるかは大きな分かれ道だろう。今後、トランプ氏が「景気を良くした大統領」から「コロナに勝利した大統領」になれるかがポイントかもしれない。もし、大統領のコロナ対策がうまくいかない場合、民主党への期待値が上がっていく。「新しいリーダーシップが必要だ」というムードが民主党側に高まっていくことにつながる。 民主党の今回の指名候補争いの戦いを見ていると、2008年にオバマ大統領が誕生した時のような民主党内の「熱意」が感じられなかった。3月のスーパーチューズデーの時点ではバイデンが候補者になったとしても、なかなかトランプ大統領には勝てないのではないかという雰囲気もあった。 ただ、コロナ禍がなかなか収束しない場合、危機を乗り越え、自分の生活を改善してくれるより良い候補者を選びたいと考えるのは合理的な流れである。民主党支持者のトランプ大統領に対する強烈な怒りが顕在化してくると、これはバイデンにとっては追い風になるかもしれない。 既に「トランプ政権の対応が悪い」など民主党候補にとってコロナ対応はトランプ叩きの材料になっている。また、本選挙での郵送投票の拡大が検討されている中、人種マイノリティや低所得者に対し、投票へのアクセスを高く設定したい共和党側とそれに抗う民主党側のそれぞれの思惑の対立が目立ちつつある。 コロナ対策が今後ますます「政治化」する中、コロナ禍対応が今後の大統領選挙の雌雄を決めるのではないか。