週休2日、子育てしながら月商300万円…寝袋を持って修行→24歳で独立したラーメン店夫婦のしたたかな戦略
■奥さんがいないと「寂しくて…」 「かめ囲」は何といってもその麺が自慢だが、もう一つの目玉として極厚の「メンマ」がある。このメンマは朱蘭さんが作っている。 もともとメンマが好きではなかった朱蘭さんは、自分が食べたいと思う美味いメンマが作れないものかと試作を始め、「亀庵」時代から形がオリジナルの大きなメンマを提供し始めた。これが「かめ囲」の人気のひとつになり、今ではメンマ目当てでお店に来る人も増えている。 「夫婦でお店をやっていると、まずは気が楽ですね。人件費がないので、苦しい時もなんとか耐えられるというのも大きいです。 今は子供がいるため奥さんが週2しか出勤しないので、いない時の沈黙に耐えられず、寂しくてスマホで音を流しながら仕込みをしています」(康太さん) オープン2周年の2024年6月24日当日に第一子が誕生した。これまでは喧嘩も多かった2人だが、「子はかすがい」で夫婦仲は上手くいっているという。 ■競合が少ないからこそ今の働き方ができる 何より手打ち麺は体力勝負になるが、お客さんの10割が手打ち麺を楽しみに来てくれている。今は体力的に問題ないので、やっていけるうちはこのスタイルでやっていきたいという。 逆に手打ち麺は商売にあまり向いていない分、今後もお店の数がそれほど増えないだろうと考え、1日の売る杯数をしっかり決めながら店を運営している。 店は週2日定休で、1日100杯を提供している。打ちたての手打ち麺は、麺が余っても翌日に持ち越せないため、提供できる杯数は自ずと決まってくる。 月商は250万円から300万円。これ以上麺を打つことはできないため、今は従業員をとらず、これまで通り朱蘭さんと2人で切り盛りしていく予定だ。 「『手打ちに飽きないの?』『しんどくない?』と言われたりしますが、創業前からかなりの覚悟を持ってやっているので、そういう次元ではありません。手打ち麺には並々ならぬこだわりがあるんです。 原材料の高騰もあるし、仕込み量も多いですが、奥さんと原価などを都度計算しながら進めています。今の一杯の精度を上げて、お客さんにさらに満足してもらえるように頑張りたいと思います」(康太さん) ---------- 井手隊長(いでたいちょう) ラーメンライター、ミュージシャン 全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。東洋経済オンライン、AERA dot.など連載のほか、テレビ番組出演・監修、コンテスト審査員、イベントMCなどで活躍中。自身のインターネット番組、ブログ、Twitter、Facebookなどでも定期的にラーメン情報を発信。ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。 ----------
ラーメンライター、ミュージシャン 井手隊長