週休2日、子育てしながら月商300万円…寝袋を持って修行→24歳で独立したラーメン店夫婦のしたたかな戦略
■「このブームは長く続くだろう」 康太さんは濃厚なつけ麺ではなく、自分の味で独立したいと考えていた。 限定ラーメンなどで味づくりをしながら自分の道を探しているうちに、「手打ち麺」の面白さに気づいた。手打ちで自分だけの麺を作ることで、オリジナルの一杯ができると考えたからだ。康太さんは手打ちうどんのお店で製麺を学ぶなど、その精度を上げていった。 「ブームがピークを迎えるものをやりたいと思い、『手打ち麺』をチョイスしました。スープよりも麺が注目され始めた頃で、このブームは長く続くだろうと考えました」(康太さん) 地元・小田原の近くで独立したかったがなかなか物件が見つからず、坪数と家賃の条件の合うところで調布市柴崎の物件を見つけた。先輩の店主に相談をし、背中を押してもらったので、ここを借り「手打麺祭 かめ囲」は2022年6月にオープンした。 「亀庵」時代からのお客さんが駆けつけてくれて、オープン日からたくさんのお客さんが集まった。 麺は打ちたて切りたてで提供している。店頭で麺を打っているのが実にそそる。注文を受けてから打ってくれる麺は何物にも代えがたい旨さとありがたさだ。 うどん粉「麺祭」に薄力粉「かめ特上」など数種を配合し、2日間かけて仕上げた麺。加水率は58%で、都心でも屈指のツルツルモチモチの自家製麺だ。この麺を求めて毎日行列のできる人気店になった。 ■妻は1.5kgをペロッと食べる大食い客 康太さんは20歳の頃に月単位での目標を決めていて、「21歳で味を決める」「22歳で味を伸ばす」「24歳で独立」とメモに書いていたが、実際その予定通りに事が進んでいった。 奥さんの朱蘭さんとは修行中の21歳の頃に出会った。朱蘭さんは「宮元」の系列店「ラーメン 宮郎」の常連客で、女性には珍しく1.5kgのラーメンをペロッと食べる大食いのお客さんだった。 「大学を辞めてニートになって、二郎系のラーメンにハマって食べ歩いていました。 『宮郎』によく通っているうちに、一緒に食事に行くようになりラーメンを食べ歩いたりして1カ月ぐらいで付き合うようになりました。 彼の夢を応援しようと思い、他のラーメン店で2年ぐらいバイトをした後に『亀庵』を手伝うようになり、独立後もついていくことにしました」(朱蘭さん) こうして2人は「かめ囲」のオープン直前に入籍をする。 朱蘭さんは意外にも不安はなく、康太さんへの信用と尊敬に溢れていて、「この人なら大丈夫」という自信があった。