日本郵船とオオノ開發、国内船舶リサイクル事業化共同研究で合意。良質な鉄スクラップ確保へ
日本郵船(社長・曽我貴也氏)は18日、解体・土木工事や廃棄物処理を手がけるオオノ開發(本社・愛媛県松山市、社長・山下裕二氏)と、国内での船舶リサイクルの事業化に向けた共同研究で合意したと発表した。船舶の解体は、オオノ開發が愛知県知多市に所有する大型外航船にも対応した国内唯一のドライドッグで実施。最新鋭の陸上解体・廃棄物処理を採り入れた独自手法により環境や労働安全に配慮した船舶解体を実現する。また、鉄スクラップなどのリサイクルを通じて鉄鋼資源の循環と脱炭素化を促進する考え。 共同研究する国内船舶リサイクル事業の領域は、(1)解体船の調達(2)船舶の解体(3)有価物(鉄スクラップ、中古船用機器など)の売却(4)鉄スクラップの国内輸送(5)有害廃棄物などの無害化や埋め立てなどの最終処分。オオノ開發の知多解体事業所は敷地面積39ヘクタール。ドライドッグは奥行き810メートル×幅92メートル×高さ14・3メートルと国内最大級。大型外航船2隻を同時に解体できる。敷地内に高効率焼却発電所施設を新設することで、産業廃棄物の処理を完結させる。係留岸壁と内航岸壁を有し、敷地内で船舶の係留と鉄スクラップの搬出ができることも特長としている。 共同研究の背景としては脱炭素化が加速する中、鉄鋼業の鉄スクラップ利用拡大に伴い良質の鉄スクラップの価値が高まることを挙げた。また、2013年12月に欧州連合のシップリサイクルに関するEU規則が発効し、来年6月には国際海事機関のシップリサイクル条約が発効することも背景とした。