獺祭と、モナコ公国の宮廷料理のペアリングはいかに?
日本酒だから叶う、寄り添うペアリング
乾杯酒として提供されたのは、桜井会長が旭酒造の最高の酒を出したいという想いから提供された「獺祭 磨きその先へ」。合わせるのは、コクと旨味が濃縮された宮崎産の熟成キャビア。最高の精米技術で引き出された獺祭の華やかな香りと柔らかさが、ウォッカなど他の蒸留酒とは違う、包みこむようなペアリングを実現している。 エレガントさと洗練されたクリアな味わいのある「磨き二割三分 遠心分離」には、旨味の強い雲丹と卵を、フラッグシップ銘柄である「磨き二割三分」には、伊勢エビから作られたムースを使ったマカロニのグルマルディ風を合わせた。それぞれの旨味に、獺祭のほのかな甘みと洗練された吟醸香が寄り添う、包み込むようなペアリングだ。 通常、日本酒では弱さを感じる牛肉に対しての興味深い組み合わせだったのが、アメリカ・アーカンソー産山田錦と現地の水で造ったアメリカ産の獺祭「DASSAI BLUE Type 35」。存在感ある米の風味がありながら、硬水によるキレを感じる「DASSAI BLUE Type 35」は、肉食文化があるアメリカにおける新たな可能性を感じさせるものだった。 デザートはモナコ産の柑橘リキュールを使用したモナコ皇室のシグネチャーデザートである「ザ・レモン」。純米大吟醸をベースにした「獺祭 梅酒」との組み合わせは、誰もがベストマリアージュとうなるものだった。 「獺祭がこれだけ幅の広い料理と合うのは、獺祭のお酒の根底にある“真に美味しい酒は、誰が飲んでも美味しいものである”という信念があるからだと思います」 そう語るのは、今回のディナー会に参加したマンダリン オリエンタル東京でシェフソムリエを務める加茂文彦氏。洗練されたエレガントな味わいは、誰しもに愛されるものであると力強く語る。 日本酒=和食の固定観念が強く残るなか、獺祭はその枠を超えるべく挑戦を続ける。この貴重な一夜の写真がまた数十年、新たな時代を開拓した記録として特別なものになることは間違いないだろう。
TEXT=児島麻理子