「推し語りしても反応を貰えない...」オタクの悩みに、書評家・三宅香帆が出す答えは?
自分だけの感想を書く意味
Q.2 SNSでほかの人のポストをRTするだけになってしまいます 同じ趣味の友達としゃべるなら、スムーズに感想が言えますが、いざ「SNSでレポしよう」「知らない人に伝えよう」と思うと、どの言葉を使っても、その瞬間のよさとか輝きとかをうまく表現できる気がしないんです! そして結局、文章のうまい人が書いたレポをRTして「そうこれ!」「それな!」というだけのbot化してしまいます......。 A.「推しを見た自分の感情」について深掘りしましょう 自分の好きなジャンルが、レポ文化、つまり「SNSでコンサートや新曲やMVなどの感想を書く文化」が盛んだと楽しい。楽しいですが、自分だけの感想を書くモチベーションがなくなるときもありますよね。他人のほうが言語化がうまいし、自分の感想をわざわざ書かなくても楽しい、と思ってしまう瞬間があるのはよくわかります。 が! それでもあなたのオリジナルの感想を絶対に残しておいたほうがいいのです。その理由はひとことで言うならば「自分だけの感想を書くことで、自分自身への理解も深まり、さらに推しへの理解も深まる」からです。 質問者さんは「どの言葉を使ってもうまく表現できない」と言っていますが、推しそのものを伝えようとするよりも、推しを見た自分の感情について表現してみるのはいかがでしょうか? たとえば、「MCのときのこの発言、めっちゃ尊かったな......」と印象に残ったら、その理由を考えてみる。「なんで私はこの発言に尊さを感じるんだろう? ほかにもいろいろ言ってたのに」「ああ、●●のときのインタビューの発言が印象に残っていて、そこからの成長を感じたからだ」など、自分の感情とその理由を言葉にしてみるんです。 すると、自分なりの感想がより深く書けるようになります! しかも、自分の感情を説明する感想って、丁寧に言語化されていることが多く、推しのことを知らない人にも推しの魅力が届きやすいんです。 推しの発言や言動をそのままレポするのも楽しいもんですが、誰かが既に書いていることで十分じゃん、と思ってしまうかもしれません。それよりも、自分が推しに対して感じたことを丁寧に言語化してみると、あとから読み返したとき面白いものができあがるので、おすすめです。 推しに魅了されきっているあなたの感情を書くことで、翻って、門外漢の人にも推しのきらめきが伝わることもあるんですよ!