好評を博したアート・バーゼル・パリ、ディレクターに聞く独自性と展望
ディレクターへのインタビュー
──バーゼルと香港、マイアミに続く開催地にパリを選んだ理由は何だったのですか? パリはアートやデザインからファッション、音楽、映画まで、さまざまな文化産業が集まる文化の中心地です。 アート・バーゼル・パリは長期的なビジョンとして、地元のプレーヤーたちとの緊密な協力関係を築きながら、こうしたクリエイティブな分野同士のダイナミックな対話につながるフラッグシップ・イベントとなることを掲げています。 ──パリのアートシーンに、どのような影響を与えることを目指していますか? パリの文化産業、クリエイティブ産業との密接なつながりを持つ国際的なイベントにすることを目指しています。今後はファッション、デザイン、映画の世界など、パリがすでに世界のシーンを主導しているクリエイティブな分野との強いつながりを求めていくことになるでしょう。 アート・バーゼルのDNAの一部である高い水準と厳格な基準をパリでのイベントにも適用したことで、現代美術とモダンアートの中心地としてのパリの魅力に寄与することができたと考えています。 ──他の開催地でのアート・バーゼルとの違いは、どのようなところにあるのでしょうか? パブリック・プログラムの規模は、まさにパリ特有のものです。象徴的な広場や庭園、美術学校、建物を舞台に作品を紹介したり、それらについて一般の人々と話したりすることができる機会は、日常的にあることではありません。 世界中の有望なギャラリーにスポットライトを当てた「Emergence」のセクションも、ほかのフェアにはないものです。(百貨店を運営する)ギャラリー・ラファイエット・グループの支援を受けるこのセクションでは参加したアーティストの中から、来年「Lafayette Anticipations(ラファイエット・アンティシパシオン)」に作品を展示する1人が選出されています。 ──コレクターたちの間で最近、特に関心を集めている現代アートのカテゴリー、またはテーマは何ですか? 西洋のアートシーンにとどまらず、より多くのアーティストたちが注目されるようになってきていることを嬉しく思っています。以前からもう「死んでいる」と言われている絵画は、それでも人気を保ち続けています。また、織物や陶芸、木工など、工芸を取り入れたものへの関心も高まっているようです。
Y-Jean Mun-Delsalle