ドイツ激震、VW工場閉鎖は「氷山の一角」-工業力衰退の象徴に
ドイツの鉱工業生産は17年にピークに達した。中国製造業の洗練が進み、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に加え、ロシアのウクライナ侵攻後に安価なロシア産ガス輸入が停止されたことなど、相次ぐ危機に見舞われた。
より大きな問題として、ドイツは事業拠点として難点を抱えている。財政均衡の名の下に数十年にわたり投資が抑制され、インフラの老朽化が進み、官僚主義に対する企業からの苦情は絶えない。
ミュンヘンを本拠とするIfo研究所は5月、エコノミスト180人を対象にした調査を通じドイツは企業にとって魅力に欠けると結論付けた。
ショルツ政権は東部の有権者をなだめるため、主に現地工場を開設する企業に多額の補助金を支給するという応急措置を取ってきた。
だが、連邦議会の経済委員会に所属する野党キリスト教民主同盟(CDU)のイェンス・シュパーン議員は、こうしたアプローチだけでは衰退しつつあるドイツの国際競争力を長期的に改善できないとみており、「VWは大きな氷山の一角に過ぎない」と懸念を隠さない。
独政府に助言しているエコノミストのモニカ・シュニッツァー氏は、ドイツが工業大国としての地位をあきらめるには尚早だと言う。
「コストを抑えながら最新技術と高品質の製品で優位に立つことができれば、ドイツ企業は今後も成功し続けることができる」と述べ、ドイツにはまだ、特にニッチ市場を握っている隠れた世界的企業が多いと説明した。
原題:VW’s Woes Force Germany to Confront Its Waning Industrial Power(抜粋)
--取材協力:Elisabeth Behrmann、Kamil Kowalcze、Alex Newman、Christoph Rauwald.
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Monica Raymunt, Mark Schroers