食料安保「世界共通の課題だ」 FAO、日本技術に期待
来日した国連食糧農業機関(FAO)のベス・ベクドル事務局次長は16日までに共同通信の単独インタビューに応じ、ロシアのウクライナ侵攻などを機に露呈した食料安全保障の脆弱さに関し「もはや特定の国・地域の問題ではなく(先進国を含む)世界が共通に抱える課題だ」と述べ、対応の必要性を訴えた。 農業分野の日本の技術を海外展開することに期待を表明。担い手不足の解消に向け、デジタル技術の活用で変化する農業の姿を若者にアピールすべきだと提言した。 食料安保は従来、飢餓や栄養不足のリスクが高い途上国中心の課題だった。ベクドル氏は、新型コロナウイルスの流行時に食料の輸出規制が相次ぎ、輸入国の一部で食料確保が困難になった例を挙げ、先進国にも広く問題意識が広まったと指摘した。災害や紛争地帯では、直接的な食料配布に加え「弱い立場に置かれる農業従事者への支援が必要だ」と強調した。 日本については「伝統的な農法と未来型のスマート農業が両方できる」と評価した。