相続人がいない場合、財産は誰の手に?…「特別縁故者」になる条件と通常の相続と異なる“相続税の4つの注意点”
誰が特別縁故者になれるのか
特別縁故者とは、民法で定められた特定の条件を満たした人だけが認められる存在です(民法第958条の2)。そのため、誰でも該当するわけではなく、基準に沿った関係性が確認されなければ特別縁故者としての資格は得られません。 被相続人と生計を共にしていた人 特別縁故者として認められる条件の一つに、「被相続人と生計を共にしていた人」というものがあります。具体的には、同じ世帯で暮らしていた内縁関係の夫や妻、事実上の養子関係にある人、または被相続人の生活を支えたり面倒を見たりしていた人が該当します。 このような生活状況があった場合、特別縁故者として財産分与が認められる可能性があります。なお、生計を共にしていたことを証明するには、同居期間が確認できる住民票が役立ちます。 被相続人の療養看護に努めた人 「被相続人の療養看護をしていた人」というのも、特別縁故者として認められる条件の一つです。例えば、一緒には暮らしていないものの、定期的に被相続人の看護を行っていた人が該当します。 ただし、看護師や家政婦として報酬を受け取っていた場合は、その報酬を超えた献身的な看護が求められます。単なる業務としてのケアではなく、家族のような愛情をもってサポートしていたことが認められることが必要です。 療養看護に努めた証明として、医療費や介護費の領収書、訪問時の写真、看護の様子が伝わるメールなどがあると有効です。 その他の特別な関係者 「被相続人と生計を共にしていた人」、「被相続人の療養看護に努めた人」のほか、「その他被相続人と特別の縁故があった人」も特別縁故者として認められます。 例えば、被相続人の身元引受人や後見人として精神的な支えになっていた場合や、長年にわたって仕送りを続けたり、事業のサポートをしたりしていたなど、関係が深かった人が該当する可能性があります。 特別な縁故を証明するには、やり取りの記録となるメールや手紙、日記のほか、財産を譲る意思が示された文書などが役立ちます。 法人が特別縁故者になる場合も 公益法人や学校法人、宗教法人、地方公共団体、さらには法人格のない団体なども、特別縁故者として認められることがあります。 被相続人が生前にこうした組織の発展に貢献していた場合、裁判所がその法人を特別縁故者と判断し、財産分与を認めるケースもあるのです。
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