株式投資の最強アイテムは『会社四季報』…「予想が当たらない」人が間違っている使い方
新NISAがはじまり、日経平均がバブル期以来の高値を更新した2024年。「投資をはじめるにはぴったりのタイミング」と語るのは、渡部清二さん。5年で塾生が10倍に急増中の投資スクール・複眼経済塾の塾長を務める“株式投資の達人”です。 【写真】5年後、10年後に「生き残る会社/消えている会社」を実名公開! 株式投資には信頼できる情報源を押さえておくことが不可欠。渡辺さんが勧める株式投資を始めるための最強アイテムとは? 新著『そろそろ投資をはじめたい。』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
最強の情報源『会社四季報』
株式投資において、「最強のアイテム」があります。私はこれを使わずに株式投資をするなんて、あり得ないと思っています。 その最強のアイテムとは、『会社四季報』です。 ここで、いかに四季報が優れた本なのかをご紹介いたします。すでに四季報を手に取ったことのある人の中には、「そんなこと知ってるよ」と思われる基本情報もあるかもしれませんが、「四季報読破」を27年続け、歴代の編集長や編集部とも交流のある私だからこその視点もあります。 そもそも四季報は、東洋経済新報社から年に4回刊行される日本の全上場企業を取材・掲載している世界で唯一の出版物です。 その強みは、「継続性」「網羅性」「先見性」にあります。 継続性──歴史がわかる! 四季報は戦中・戦後の一時期を除き、現在まで約90年の歴史があります。つまり、最新の四季報を見れば現在の日本経済の状況がわかるのはもちろん、遡れば90年前の歴史や状況も詳細に理解することができるのです。 網羅性──企業と今がわかる! 本書執筆時点での最新号である2024年4集秋号では、3926社(全上場企業)の業績が掲載されています。一国の全上場企業を網羅している出版物は、世界広しといえども四季報だけです。 私は、四季報のことを「株のカタログ」とたとえています。一般的な商品のカタログと同じように、パラパラとページをめくりながら、どの銘柄を買おうかと考えることができる。それは、日本に四季報があるからこそできることなのです。 あなたは「蟻塚」をご存じでしょうか。 アリが掘り出した土を積み上げてできた塚状の巣のことです。一匹一匹のアリだけを見ていても、砂粒を運んでいるだけで何をしようとしているかはわかりません。しかし、視点を引いて全体を見てみると、小さな砂粒を積み上げて、大きな蟻塚ができていることがわかります。 この1匹ずつのアリを1社ごとの企業として見てみましょう。1社だけで見ると、その企業の動きや業績しかわかりませんが、それをすべて積み上げると、日本経済という全体像が明らかになってくるのです。ちなみにアリに当たる1社ごとの企業の動きを「ミクロ」、蟻塚に当たる全体像である日本経済を「マクロ」といいます。ミクロを積み上げるとマクロになるのです。 また、上場企業は業界の代表選手で、多くは海外を相手に事業を展開しています。四季報を読むことで、そのような企業の動きを知れば、日本経済がわかるどころか、世界経済まで理解することができます。まさにミクロからマクロが見えてくるのです。 「日本の上場企業の本なのだから、そこまではわからないのでは?」という疑問もごもっとも。ですが、わかるのです。 例えば、日本郵船や商船三井といった国際的な海上運送業の荷動きは、景気の先行指数(景気循環の転換点の兆候を早期に捉えるためのもの)になっています。この荷動きが鈍っていれば景気は悪くなり、活発になれば景気が良くなっていくとわかるのです。 先見性──未来がわかる! 2009年3月期から、上場企業は3か月ごとに決算を発表する「四半期決算制度」が義務付けられました。年に4回の決算発表は今では当たり前となりましたが、四季報はそのような慣習がなかった1936年の創刊当時から年に4回発行していました。これだけでも、優れた先見性を持っているといえます。 それに加え、全銘柄の来期予想を独自で掲載しています。こうした未来を見通す先見性は四季報創刊当時からの伝統ともいえるのです。