永遠のケービン⑥ 「かぶりつき席」からの絶景 帰ってきた令和阿房列車で行こう 第二列車
跨座(こざ)式モノレール「ゆいレール」の終点・てだこ浦西駅は、那覇市のお隣、浦添市にある。 駅名は公募で選ばれ、「てだこ」とは、琉球方言で「太陽の子」という意味だそう。 琉球王国の英祖王(1229~99年)が生まれるとき、母親が太陽をのみ込む夢をみたことから王は「太陽の子(てだこ)」と呼ばれたという。それにあやかっての命名だというから、地元の期待の大きさがわかる。 令和元年に開業した駅は市街地のはずれにあるためか、飲食店は見当たらなかった。 与那原(よなばる)駅舎から浦添までの道すがらにあった食堂で、テビチ(豚足の煮つけ)定食を食べておいて良かった。地元民に愛されている店を運転中でも瞬時に発見できるサンケイ1号君の能力は、特筆に値する。 駅の隣には、千台近く収容できる巨大な駐車ビルがあり、低層階はほぼ満車だった。駐車料金は1時間100円と安い。マイカーでここまで来て、モノレールに乗り換え那覇市街地へむかうパーク&ライドが定着しつつあるようだ。 ただ、広いスペースをとっているバス乗り場にバスは1台も停(と)まっていなかった。発着本数も少なく、ターミナル駅としては物足りない。まだまだ発展途上というところか。 揚げ足を取るのはそれくらいにしてさっそく乗り込もう。モノレールは日中10分間隔で運行され、那覇空港まで17キロを37分かけて走る。1号君から「運転席すぐ後ろの『かぶりつき席』に座るといいですよ」とアドバイスを受け、素直に従った。 老いては子に従え。還暦を過ぎても後輩に従ってさえいれば、何の問題もない。 唯一の懸念は、前に座りたがる子供や愛好家との争いだ。大の大人が、席取り合戦をするほどみっともないことはないが、幸いホームには子供も愛好家もおらず、すんなり座れた。 定刻通り発車したモノレールは、全線で唯一のトンネルを抜け、浦添前田駅へ。 ここで1号君とはお別れ。本業の取材活動に戻らねばならない。でも、彼のファンの皆様、安心してください。今月下旬に発車予定の第四列車にも同乗願う予定です。 それにしても「かぶりつき席」からの眺めは素晴らしい。