【闘病】『検診へ行った自分を褒めたい』海外在住で“乳がん”を早期発見。「死」を感じて変わった人生観
日本と海外の違いに困惑する日々…そんな中運命の医師との出会い
編集部: では、そこから具体的な治療について教えてください。 加藤さん: 病院選びが一番大変で、オーストラリアは日本と制度が全く違います。まず、日本は乳がんになれば専門病院へ行き、そこに勤務する医師が担当医になると思います。 一方、オーストラリアの場合は病気になるとまず総合病院(General Practice)に行き、診断書と紹介状を受け取る必要があります。そしてがんの場合は診断書を受け取ったら自分で医師を探さなければいけません。 ネットの情報を見ても、医師の経験年数や費用、評判の記載もバラバラ。公立病院と私立病院で費用も変わりますし、決め手となる情報が不足していてかなり困りました。勘でピックアップして、先生に直接連絡する必要があります。 編集部: 日本とはかなり違いますね。がんの告知を受けて気分も落ちている中での医師探しは辛かったのではと思います。 加藤さん: 早く医師を決めたいという焦りの気持ちと、将来の自分の体がどうなるのか分からない中での作業はすごく辛いものでした。医師選びをする1週間はすごく不安でしたね。 編集部: それから、どのように先生を見つけられましたか? 加藤さん: 私の場合、勘で2名の先生とアポを取り、そのうちの1人の医師とお話をした瞬間、運命を感じて「この人だ」となりました。アジア系の女性の医師で、私の話を親身に聞いてくれて、どんな些細な質問にも丁寧に回答するというところに信頼を感じました。 あなたのがんのステージであれば、乳房を切除しなくても大丈夫かもしれないと言われ、この先生に身をゆだねようと決めました。 編集部: ちゃんと信頼できる先生と巡り合えて、本当によかったです。それからどのように治療が進みましたか? 加藤さん: 先生に会った日に、「30日以内で手術をします」と言われました。オーストラリアではどんながんであっても30日以内に手術・処置を実施するそうです。私の場合の「乳がん」も同様で、とにかく手術までにやることがたくさんありました。 レントゲン、超音波検査、MRI検査をそれぞれ自分で予約した違う病院で受診しなければいけなくて、すごく忙しかったことを覚えています。 編集部: 手術後はいかがでしたか? 加藤さん: 私の場合、手術の前にした組織検査でほとんどのDCISを取り切ってしまったそうです。なので、乳房の切除ではなくDCISの完全切除に留まり、そこまで大きな規模の手術にはなりませんでした。 当日は全身麻酔での手術でしたが、半日後には退院というハードなスケジュールでした(笑)。 編集部: 半日後に退院は驚きました。 加藤さん: 当日はもうずっと寝ていました。麻酔が切れ始めてから翌日にかけては体が全く動かず、歩くだけで胸が痛いのでベッドにずっといる生活でしたね。1週間くらいはシャワーを浴びるだけでも痛くてずっと寝たきり。 1週間が過ぎる頃には徐々に体調が戻ってきて、2週間を過ぎてからはワークアウト(軽い運動)ができるくらいに回復しました。 編集部: ワークアウト! すごいです。 加藤さん: 家での軽いダンベルを使った運動ならできていましたね。1カ月後には正常運転になりました。