教育や受験の現場で最近よく聞く「Steam教育」って何? 理数科目より芸術のほうが重要に? 注目ワードを専門家が解説
自己肯定感
すべての力の基盤となるもの、子どもの成長における「栄養」のようなものです。自己肯定感がなければ、意欲や行動力、コミュニケーション能力などが育ちませんし、子どもの持てる力を十分に発揮することができません。日本人は特に自己肯定感が低いので、最重視していただきたい力です。
考える力
豊かな想像力や感性、思いもよらない発想、ものごとを分析する力や自分で考えて判断する力は、まだ言葉を十分に話せない1歳の子どもでも育てていくことができます。さまざまな体験や遊び、読み聞かせ、美意識を育てる家庭環境がこれらの力を養います。
意志力
非認知能力に含まれる忍耐力や自己制御能力は、「意志力」を養うことで身につきます。意志力とは、自分のやるべきことをやり遂げるために、自分の思考や感情、行動などをコントロールする力です。意志力と似たものに「実行機能」がありますが、幼児期に実行機能を身につけるかどうかが、その後の人生にも影響すると言われています。
社会的スキル
協調性やコミュニケーション能力、共感する力も、これからの世の中に欠かせない非認知能力です。これらは、AIにはない人間だけが持つ能力でもあります。また、5つめの国際的スキルは、社会的スキルがなくては育ちません。
国際的スキル
英語をはじめとした語学力は、世界と渡り合うための基本ツールです。日本人であれば、日本語と英語のバイリンガル、あるいは日本語、英語、中国語のトリリンガルなど、多言語話者を目指すのが理想です。 ただし、語学力だけでは不十分です。多様性や文化の違いを尊重し、自国の文化を大切にしながら、他国への理解を深める国際的なマインドがあってはじめて、国際社会で通用するスキルが育ちます。
この5つの力は、学校や塾に頼らずとも育むことができます。むしろ、家庭でなければ育てられない力も多いかもしれません。子どものことをよく知っていて、子どもとの愛着関係を持つ保護者だからこそ、育てられるものです。
中内玲子